基地問題を前面に 屋良氏政策発表 政党間連携に課題


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支持者らにあいさつし、政策を発表する屋良朝博氏(前列中央)=10日、沖縄市安慶田の後援会事務所

<解説>

 4月21日投開票の衆院沖縄3区の補欠選挙に向けて玉城デニー知事の後継として出馬する屋良朝博氏は、米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設の阻止を最大の公約に掲げた。新基地建設問題を前面に打ち出すことで2月の県民投票で示された「反対」の民意を追い風に支持拡大を図る狙いがある。

 フリージャーナリストの屋良氏は基地問題をライフワークにしており、今回掲げた28項目の政策のうち、8項目を基地問題に関する公約にした。普天間飛行場を運用する海兵隊について「運用を変えるだけで沖縄から移すことは可能になる」との持論を展開し、選挙戦では正面から基地問題を問う考えだ。

 基地問題に関する公約には、基地従業員の雇用対策や軍用地主の利益を保護するための「跡地利用促進基金」の創設を掲げるなど、支持組織である全駐労を含めた労組への配慮もみられた。

 新基地建設を巡っては、相手候補である自民党公認の島尻安伊子氏が新基地建設「容認」を明確にしたばかりだ。玉城知事は島尻氏の発言について「(辺野古が)選挙の争点であることを本人がはっきりと言った。我々も争点として堂々と訴えていきたい」と述べた。新基地建設の是非を最大の争点にすることで選挙戦を有利に運びたい思惑がにじむ。

 一方、会見では、屋良氏が所属する自由党と国民民主党が衆参両院で統一会派を組むことに合意したことについて質問が飛んだ。屋良氏は「私が出馬を決めた後に出てきた話だ」として、当選後にどの政党、会派に所属するかについては「玉城知事とも相談しながら最終的には決めていきたい」と述べるにとどめた。各政党が相乗りする「オール沖縄」候補として、今後の政党間の連携に課題が残ることを印象付けた。
(吉田健一)