「安易な共有、危険」 フェイクニュース 東京でセミナー


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 【東京】事実と異なる情報を拡散する「フェイクニュース」現象の本質を考えるセミナー(主催・NPO法人ファクトチェック・イニシアティブ=FIJ)が10日、東京都内で行われた。事実は二の次で「フェイクニュース(で騒ぐこと)が気持ちいい」といった感覚がまん延しているとして警鐘が鳴らされた。会員制交流サイト(SNS)の情報を共有する際に「まだ、分からないよね」と一言入れるなど、冷静に情報を受け止める重要性が指摘された。

 電子情報から人の行動や社会現象を読み解く「計算社会科学」を専門とする笹原和俊・名古屋大大学院講師は、SNSで似たイデオロギーの人同士の結び付きが強まり、意見交換が行われず分断が進んでいると指摘した。フェイク情報は事実よりも遠く、早く、たくさん伝わるといった特徴を語り、立場が違う情報に触れる機会を設けるなどSNSのシステム改善を訴えた。

 下村健一・白鴎大客員教授は「虚偽情報は損をする」という基礎をしっかり教育する必要があると強調した。2016年の熊本地震でライオンが逃げたというデマが広まり混乱したことを例に、家に戻った人が再度の揺れで亡くなった可能性もあったとし、フェイクニュースを共有する危険性を具体的に伝える必要があるとした。