選んだ未来、実現させて 沖縄県民大会、世代超え 怒りの「ノー」


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
登壇者の話に拍手を送る人たち=16日、那覇市の那覇新都心公園

 会場には怒りが渦巻いていた。「辺野古ノー」の民意を改めて示した2月の沖縄県民投票後、初めて開かれた16日の県民大会。「日本に民主主義はあるのか」「沖縄は今も捨て石だ」。参加者は口々に訴えた。県民投票実施の原動力となった若い世代も積極的に発言し、賛同と共感が広がった。沖縄戦体験者、家族連れ、若者…。全員が手を携え、そして誓った。国が進める辺野古新基地建設を諦めるまで、「ノー」の意思を示し続ける、と。 

 普段は家族連れの笑い声があふれる、那覇市の新都心公園。県民大会は、空襲警報を思わせる右翼団体のサイレンが鳴り響く中で始まった。

 口火を切ったのは、オール沖縄会議共同代表の稲嶺進前名護市長。沖縄の民意を無視する政府を批判した上で、「辺野古を白紙撤回するまで、ぐすーよー、まきてーないびらんどー(皆さん、負けてはいけませんよ)」。大きな拍手と「そうだ」の声で、サイレン音はかき消された。

 壇上では、若い世代が次々とマイクで訴えた。25歳の男性は「琉球処分から140年、この島の置かれている苦境は何も変わっていない」。名桜大1年の男性も「他人ごとでなく自分事として考えてほしい」。別の若い男性も「あらゆる世代と手を取り合って、辺野古をこれ以上、埋め立てさせない」と訴えた。

 会社員の友利麻記子さん(34)=那覇市=は若者の発言に拍手を送った。「あと何回、県民大会や選挙で民意を示したら政府は辺野古を諦めるのか。古里を守るために負けられない」。糸満市の高良弥生さん(39)は「率直に言えば、沖縄は国の捨て石。沖縄戦の頃と変わらない」。腕の中で3歳の娘、蓮七(れんな)ちゃんが眠っていた。「この子たちが戦争に巻き込まれたら、と思うと…。自分にできることはしたい」と力を込めた。

 参加者は立ち上がり、一斉にメッセージボードを掲げた。「土砂投入をやめろ」「民意は示された」。さらに両手をつなぎ「ガンバロー」と声を上げた。1度、2度、3度と高く掲げられた手は、春の陽光を浴び、一層の力強さを発していた。