昨年9月の台風で破損の堤防、復旧作業は来月着工 住民ら「県対応遅い」


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簡易のロープが張られている台風で損壊した転落防止柵=20日、嘉手納町水釜

 【嘉手納】昨年9月の台風24号で堤防が破損するなど甚大な被害を受けた沖縄県嘉手納町水釜・兼久地区の復旧作業について、県は4月から作業に着工し、9月末に完了する計画を明らかにした。着工までに半年以上掛かった理由については、昨年は自然災害が頻発し多忙だったためだと説明した。19日、町水釜の西浜区コミュニティーセンターで開かれた住民説明会で明らかにした。町は台風シーズンが到来する初夏までに復旧作業を終えるよう求めていたことから、市民の一部からは「対応が遅過ぎる」「またあの恐怖にさらされるのか」など不満の声が上がっている。

 堤防を上回る高波が押し寄せたことによる民家への浸水や自家用車の損壊などに対する個別補償については、県は「自然災害」を根拠に応じない方針を示した。

 復旧作業期間は180日で、国の災害復旧事業を用いて約2900万円を計上する。損壊した転落防止柵917メートルを修復するほか、天端ブロック55個を設置する。工事に伴い5月1日から約2カ月間、堤防沿いの一部区間が通行止めとなる。波の流入を防ぐために設置された堤防だが、台風24号では堤防を上回る高波が住宅地へ押し寄せ、民家の浸水や自家用車の損壊など被害が多数出た。県は「堤防の機能や設置基準に問題はなかった」とするも、想定以上の高波に見舞われた事実を認め、今後は堤防のかさ上げなど堤防の機能を強化する工事を実施する方針だ。

 西浜区の中川康司自治会長は「前回の台風でトラウマになっている区民もいる。県には夏前までに速やかに復旧工事に取り組んでもらいたい」と訴えた。
 (当銘千絵)