高齢者、障がい者の沖縄観光増加 2017年度観光バリアフリー調査 県「受け入れ体制強化へ」


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 沖縄県文化観光スポーツ部は27日、60歳以上の高齢者や障がい者の観光についてまとめた「観光バリアフリー入域実態把握調査」の結果を発表した。2017年度に沖縄を訪れた国内客のうち、高齢者は07年度比1・41倍となった。沖縄美ら海水族館を訪れた障がい者も同1・66倍に増加した。嘉手苅孝夫県文化観光スポーツ部長は「潜在的な需要は大きく、バリアフリー受け入れ体制をさらに強化する必要がある」と話した。

 高齢者の数は入域者数全体に年代の割合を掛けて計算した。

 07年度に約135万人だった高齢者が、17年度には約191万人に増加した。美ら海水族館で障がい者手帳などを提示した入場者数は、07年度の2万8159人から17年度は4万6713人となった。

 15年度の平均消費額は高齢者が14万4711円、障がい者が10万5360円で、14年度の県平均消費額7万4502円を大きく上回っている。17年度の高齢者の消費額は総額1426億9300万円と試算され、国内客消費額の約29%を占めるとされている。

観光客向けの貸出用の車いす=那覇空港

 高齢者の旅行形態として60代、70代は石垣島や周辺離島などを訪れる割合が他の年代よりも高い。70代のうち69・4%がリゾートホテルに宿泊している。高齢者、障がい者ともに1人での旅行は少なく、複数の需要喚起につながると期待されている。

 高齢者人口は増加が見込まれていることや、身体障がい者の約4割が旅行や遠距離の外出を諦めているという調査結果もある。情報不足や設備への不安を払拭(ふっしょく)することで、より多くの観光客が沖縄を訪れることが期待できる。

 県は観光バリアフリーポータルサイトでの情報発信や、事業者向け観光バリアフリーセミナーの開催、アドバイザーの派遣など支援を実施している。那覇空港と国際通りにある「しょうがい者・こうれい者観光案内所」の相談件数は、07年度の1601件から17年度は1万8006件と大幅に増加した。各施設の受け入れ状況についての情報提供や車いすなどの貸し出しが好評だという。