環境調査や養蜂など昆虫に関わる仕事を手掛ける名嘉猛留(たける)さん(40)=沖縄市=が28日までに、国内で確認されていなかったハチを北谷町で発見した。これまでミャンマーやインドなどでしか確認されていなかった種類で、九州大学大学院の三田敏治助教(昆虫学)が同定した。名嘉さんは、頭や腹に比べ胸が赤い姿から和名にうちなーぐちの「アカラ」を冠し「アカラシロアリモドキヤドリバチ」と名付け、「沖縄の身近な生活の中に貴重な昆虫がいる楽しさを知ってほしい」と語った。
名嘉さんの発見は、2018年10月にニュージーランドの学術誌で発表され、国内では19年1月にハチ専門紙「つねきばち」で掲載された。メスに羽がなく大きく発達した目が特徴だ。
発見は17年7月、北谷町のアメリカンビレッジ内。体長約3ミリのメスの個体を見つけた。
名嘉さんは「壁に目をやると見慣れない虫がいて、採取したら『なんだこりゃ』と驚いた」と振り返る。「シロアリモドキヤドリバチ」の他の種と異なり、黒と赤の体が目立っていたという。
名嘉さんは虫を傷つけずに吸引して採取できる自作の虫取り器を作り、普段から首に掛けて持ち歩いており、今回の発見でも活躍した。首に掛けたまま買い物に出てしまうこともあるが、「虫との一期一会の出合いを逃さないようにしたくて」とほほ笑む。
これまでにも新種の虫を数多く見つけてきた名嘉さん。沖縄が世界自然遺産登録を目指す中で「多様な虫がいる場所に住んでいるからこそ、ウチナーンチュとしてたくさんの新しい発見ができたらいい」と意気込んだ。
三田助教によると、シロアリモドキヤドリバチの仲間はミツバチなどと異なり、木の中など隠れた環境に潜むため人目につかず、世界的にも知名度が低い。「見た目は面白いが、調査するのが難しい種で、国内で初めて見つかったのは大きな成果だ」と語った。(清水柚里)