ハエ活用し循環型社会 東大生ら沖縄・八重瀬で実験 幼虫がごみ分解、サナギは飼料


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アブを使った食品リサイクルについて説明するグラビンの川本亮さん(右端)、森崎慶司さん(左端)、山田陸さん=30日、八重瀬町具志頭の南の駅やえせ

 【八重瀬】東京大学の学生らで作るグループ「Grubin(グラビン)」が30日、八重瀬町内で取り組んだアメリカミズアブを使った食品リサイクルの実証実験の成果発表会を同町の南の駅やえせで開いた。ハエの一種のアメリカミズアブの幼虫は、バクテリアの約10倍の速さで生ごみを分解するという。成長したサナギはタンパク質が豊富で養鶏などの飼料になり、飼料を食べた鶏などが食卓に上がるという循環型社会を目指す。グラビンの取り組みは今月、東京大学総長賞を受賞した。

 グラビン代表で東京大学医学部医学科2年の川本亮さん(20)は、2017年にカンボジアを訪れた際、子どもたちが下痢で亡くなる要因に、放置された生ごみがあると考えた。改善策を調べ、アメリカミズアブにたどりついた。18年にプノンペンで実験を行い、日本財団ソーシャルイノベーションアワードの最優秀賞(賞金1千万円)を受賞した。

 那覇市協働大使の大浅田均さんと出会い、八重瀬町内の農業生産法人や養鶏場などの協力を得て、今年1月から約3カ月、町内で実証実験した。

 川本さんは協力に感謝し、「このシステムを東京オリンピックに導入できないかと思っている。若者の夢想かもしれないが、これからも一歩一歩着実に進めていきたい」と語った。グラビンは、今後も養鶏実験を継続する。同システムは、5月ごろから都内大手企業の社員食堂で導入予定という。