〈立候補予定者に聞く〉屋良朝博氏(上) 総合計画で事態打開


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球新報は2日までに、21日投開票の衆院沖縄3区補欠選挙に出馬を予定する無所属新人で県政与党が支援するフリージャーナリストの屋良朝博氏(56)と新人で元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明推薦=の2氏にインタビューし、重視する政策などを聞いた。最大の争点となる米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非については、屋良氏が反対、島尻氏は容認で、対立軸が鮮明だ。基地問題以外では、両氏とも子どもの貧困対策や交通政策による渋滞緩和などを掲げた。内容を2回にわたって紹介する。 (聞き手・吉田健一)


 

屋良 朝博氏

 ―出馬を決めた理由と最も取り組みたい政策は。

 「長い間、ジャーナリストの立場で基地問題や社会問題を取り扱ってきた。『新外交イニシアチブ』(ND)評議員としても基地問題の解決策などを提示してきたが、影響が限定的で、政治でしか物事が動かないことがあると実感した。そんな中、県政を支える立場で国会を目指してみないかという話があり、やるべき仕事があると思い、出馬を決めた」

 「最も取り組みたいことは普天間飛行場の名護市辺野古移設問題だ。普天間は施設をどうするかだけの問題だ。基地に代わる産業をどうするか。雇用対策をどうするか。沖縄の今後をどのように展望するか。トータル的なビジョンを描いていきたい」

 ―辺野古移設の是非と危険性除去に向けた具体策は。

 「普天間を返還するための辺野古移設は必要ない。空中給油機の岩国移転のようにできる部分を別の場所に移せばいいだけの話だ。沖縄になぜ航空部隊が必要か。政府は地上部隊との連携と言うが、連携に必要な機数を明示すれば必要最低限を沖縄に置いておけばいい。それはヘリパッドで代替可能で、キャンプ・シュワブやハンセンに造れないのか。安全保障の面からも沖縄に海兵隊は必要ない」

 「今、マイク・モチヅキ米ジョージ・ワシントン大准教授と連携し、地上部隊との連携に必要な航空機はどの程度か洗い出しをしている。必要最低限の航空機はそんなにない。しかし、そういったことを考えない政治状況がある。安全保障に対する意識の問題で、意識を変えるのが私の仕事だ」

 ―玉城県政と安倍政権の評価は。

 「安倍政権は政権内の統制が取れていない。防衛省の日報隠しや毎月勤労統計の改ざん。『森友・加計学園問題』などをみると信頼できる政権ではない」

 「玉城県政の方向性としては有識者を招いた『万国津梁会議』を立ち上げるが、非常に画期的なことで評価できる。縦割り行政を変えるきっかけになることに期待したい」

……………………………………

 やら・ともひろ 1962年8月22日生まれ。北谷町出身。フィリピン国立大卒。沖縄タイムス社に入社し、基地問題などを担当し、社会部長などを歴任。2012年に退職し、現在は民間シンクタンク「新外交イニシアチブ」の評議員を務める。