【中部】在沖米軍のエリック・スミス四軍調整官が2月26日付で、米兵らの勤務時間外の行動を規定する「リバティー制度」を大幅に緩和した。多くの米軍人・軍属が居住する本島中部の自治体の住民からは「了承できない」と事件事故の増加を警戒する声が上がった。地域が活発になることを期待する人も「法の順守は当然のことだ」とくぎを刺す。一方で、在沖海兵隊員や基地関係者らからは歓迎の声が上がり、地元との温度差が垣間見える。
3日午後、米兵にも人気の北谷町アメリカンビレッジを訪れた同町の主婦・具志堅里奈さん(28)は「米兵も私たちと一緒。勤務時間以外は自由に遊びたいはず」と一定の理解を示す。ただ、夜間に周辺の飲食店で飲酒し、大声で騒ぐ基地関係者を見掛けるといい、「規制の有無にかかわらずモラルの問題。基地撤去が叫ばれる中、これ以上、県民を怒らせたり怖がらせたりするようなことは絶対にしないでほしい」と訴えた。
2016年に出された宿泊制限が解除された浦添市牧港補給地区以南の地域でも、緩和を不安視する声が聞かれた。この規制は、16年3月に飲酒後、那覇市内のホテルに宿泊していた米兵が観光客の日本人女性に暴行を加えた事件を契機に設けられた経緯がある。那覇市の無職・又吉幸子さん(70)は「根本的な問題は米軍基地が沖縄に集中していることだ。沖縄が日本の一部だと言うなら、全国で公平に負担してほしい」と求めた。
「一滴でも酒を飲んだら、絶対にハンドルを握ってはいけない。わずか一滴でも」。在沖米軍関係者を対象にした英語のラジオ放送AFNの周波数に合わせると、日本では飲酒運転の取り締まり基準が米本国より厳しいことを周知するコマーシャルが一日に何度も流れる。沖縄では充実した運転代行サービスがあり、選択肢の一つとして活用するよう促すものもある。米軍にとっても兵士らの飲酒運転は、深刻な課題であることがうかがえる。
週末は米兵らの姿が目立つ沖縄市のゲート通り。3日夜は米軍関係者らはまばらで、青色回転灯の車がパトロールで回っていた。毎日朝と夕にゲート通りを通る自営業の男性(71)はリバティー制度の緩和に「賛成できない。事件事故があれば、また制度を厳しくするのだろう。誰かが犠牲になる前に根本的にルールを厳しくして、地位協定などを変えるべきだ」と話した。