〈立候補予定者に聞く〉島尻安伊子氏(下) 次期振計 福祉や教育に力


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 21日投開票の衆院沖縄3区補欠選挙に向けて琉球新報が2日までに実施した立候補予定者へのインタビューでは、9条を含めた憲法改正を巡って賛否が分かれたほか、争点の一つである子どもの貧困対策についても解消に向けた手法に違いがみられた。(聞き手・吉田健一)


 

島尻 安伊子氏

―現行の沖縄振興特別措置法の必要性や次期沖縄振興計画について。

 「現行法の成立、策定の経験を持つ身として、強く自立した沖縄の実現を引き続き模索する。現行法の単純延長はあり得ない。間もなく本土復帰50年を迎える。これまで第5次振興計画の中で、抜け落ちていた分野が福祉や教育だ。次期振興計画、振興法の策定の際に、その部分をしっかりと盛り込み、沖縄関連予算がきちんと充てられる根拠をつくっていきたい」

 「自立型経済の構築に向けて民間企業を政治・行政が支える仕組みをつくる。政治が企業をバックアップし、技術革新を誘発させたい。起業しやすい環境を整える。そのためには資金調達しやすい環境をつくることが必要で、金融部門を強化しなければならない」

―子どもの貧困対策について具体的な解消策は。

 「『沖縄子どもの貧困緊急対策事業』を始めてから、さまざまな深刻な事例が表出した。特に若年妊産婦が抱える課題は、早くから対応したいとの思いがあり、昨年には母子未来センターの中に『若年妊産婦の居場所』が開設した。『居場所』を通じて、中学生で出産し、その後復学できずに育児放棄につながる事例が出るなど、さまざまな問題点が見えてきた。今後、就学、就労支援を含めた細かなケアができる制度をつくっていきたい」

―医師不足や若者流出など北部の振興について。

 「地元に財政負担をかけずに基幹病院を設立したい。培った経験をもって関係省庁と調整する。離島部への対応として、医療体制や移動手段を確保し、島民の皆さんが安心して暮らし続ける、定住し続けることができるようにしたい」

―憲法9条を含めた憲法改正について。

 「憲法改正は自民党立党以来の党是であり、国民の合意の上に改正を目指すべきだ。平和憲法としての精神、9条の理念は維持すべきと考える。国会の憲法審査会では、残念ながら1年半近くも実質的な議論が行われていない。与野党の壁が高いだけでなく、それを乗り越える国民各界各層の機運が醸成されていないのではないか。草の根ではないが、地道に丁寧に改正への機運を醸成していくしかないと考える」

―交通渋滞解消を含めた交通政策について。

 「渋滞問題は観光のネックになるだけでなく、県民にとっても生活に直結する問題だ。解消に向けて知恵を絞り、具体的に動かなければならない。利便性向上の観点からも、例えば『池武当インターチェンジ』(IC)の新設による沖縄北・南ICの渋滞緩和、『うるまIC』の新設と与勝半島一周道路の早期完成などを進めていきたい」

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 しまじり・あいこ 1965年3月4日生まれ、仙台市出身。上智大卒。2007年参院補選で初当選。15年から沖縄担当相を務めたが、16年の参院選で落選し、同年から沖縄担当相の大臣補佐官を務め、今年1月に補選出馬に伴い辞任した。