沖縄県と国の訴訟これまで6回 新基地建設問題で 


この記事を書いた人 Avatar photo 高良 利香

国土交通相が審査の結果、県による名護市辺野古の埋め立て承認撤回を取り消したことで、暫定的に出していた、撤回の執行停止の効力は失われることになった。県が国交相の執行停止の取り消しを求めて3月に提起した訴訟は事実上訴えの利益がなくなるため、請求を取り下げる可能性が高い。国交相の執行停止を巡っては、県が国地方係争処理委員会に不服を申し立てた。しかし係争委は県の主張を退けたため、県は行政不服審査法に基づき福岡高裁那覇支部に提訴した。

 国交相の裁決を取り消すには那覇地裁に抗告訴訟を起こす方法もあるが、執行停止への対応から、撤回取り消しの決定を不服として係争委に訴え、退けられた場合に再び高裁に提訴することが想定される。

 新基地建設問題で県と国はこれまで6度訴訟に発展している。最初の訴訟は2015年11月、国が提起した。当時の翁長雄志知事が前任の仲井真弘多氏による埋め立て承認を取り消したことを受け、福岡高裁那覇支部に代執行訴訟を起こした。同訴訟は16年3月、国が訴えを取り下げ、工事を中断して問題を再協議するなどの内容で両者が和解した。この間に県が二つの訴訟を提起していたが、和解で取り下げた。

 しかし約4カ月後には国が承認取り消しを巡って県の違法確認訴訟を高裁那覇支部に提起し、県が敗訴した。その後、最高裁で県の敗訴が確定した。県が沖縄防衛局による岩礁破砕工事の差し止めを求める訴訟も提起されたが、一審、二審ともに県が敗訴した。県は今年3月、上告を取り下げ、敗訴が確定した。