「ミサイルは保管しない」と説明していたのに…宮古島・陸自「容認」前提崩れ ぬぐえぬ地元の疑問


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住民への説明なしに弾薬が保管されていた保管庫=6日、宮古島市上野野原の宮古島駐屯地

 「ミサイルの保管はしないこと」。宮古警備隊の配備計画の段階で、地域住民は防衛省にこう要請していた。これに防衛省側も「弾薬の配備はしない」と説明してきたが、同駐屯地の保管庫には、中距離多目的ミサイルや迫撃砲などの装備が保管されていることが明らかになった。

 この問題について、7日の隊旗授与式に参加した岩屋毅防衛相は「説明が不十分だった」などとして謝罪したが、地元住民の反発は強まっている。駐屯地近隣の千代田、野原両部落会は、地域振興策などを条件に事実上の配備容認の方針を取っていた。しかし弾薬を保管しないことが容認の前提となっていただけに、今回の事態に戸惑いや怒りを見せる住民も少なくない。

 4日夜には千代田地区の住民を対象に沖縄防衛局が説明会を開いた。住民らの問いに対し、防衛局側からは具体的な回答はなく、繰り返し謝罪するのみで、意見がかみ合うことはなかった。参加した住民からは「前提条件が崩れている」「約束が違う」などの意見が上がった。一方の野原部落会ではまだ説明会は開かれていないが、反発の声が上がりそうだ。

 このほか、同駐屯地のグラウンドが緊急時にヘリの発着場となることも明らかになった。防衛省は「ヘリパッドの整備をしないこと」という住民の要望を受け入れていない。防衛相の言う「丁寧な説明」によって、生活の安全を求める住民の不安と疑問をぬぐい去ることができるのか。部隊配備「容認」の前提が崩れた今、政府の根本的な対応が問われている。
 (真栄城潤一)