「来年は一緒に」乳がん闘病中の母に完走のプレゼント 9歳と7歳の兄弟 あやはしロードレース


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完走した啓叶さん(左)と煌叶さんの肩を抱き、「よく頑張ったね」とねぎらう母親の上間明子さん(中央)=7日、うるま市与那城総合公園陸上競技場

 【うるま】照り付ける太陽の下、名勝と名高い島々をランナーたちが駆け抜けた「第19回あやはし海中ロードレース大会」。潮風が運ぶ磯の香りを全身で味わい、7918人が思い思いのペースで楽しみながら快走した。沿道では多くのボランティアや地域住民が温かい声援や拍手を送り、走者と一体となって大会を盛り上げていた。

 「お母さんの分まで楽しんで走ってね」。うるま市の上間明子さん(44)は沿道から、3・8キロのコースを駆け抜ける愛息子(まなむすこ)、啓叶(けいと)さん(9)と煌叶(きらと)さん(7)の雄姿を見守った。マラソンが趣味という明子さんはおととしも息子たちと一緒に同大会に出場したが、その直後に乳がんを発症した。2017年8月に手術を受けたが今も痛みが残り、激しい運動ができない。「早く元気になり、また子どもたちと一緒に走りたい」。明子さんはそう話し、一日も早い夢の実現を願っている。

 啓叶さんと煌叶さんは明子さんの影響でマラソンが好きになったという。昨年は大会出場を見送ったが「元気に走る姿をお母さんに見せ、勇気づけたい」との思いから、今年は自ら参加を申し出た。2人きりのランだったが、啓叶さんは21分40秒、煌叶さんは28・14秒でそれぞれ無事に完走した。

 「2人とも本当によく頑張ったね。かっこよかったよ」。ゴールした2人を抱きしめた明子さんの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。啓叶さんは「上り坂がきつかったけど、楽しかったよ」と明子さんに報告。煌叶さんは「来年はお母さんと一緒に走りたい」と照れ笑いした。