日本初確認の深海ヤドカリを展示 沖縄・本部町の美ら海水族館


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国内で初めて確認された「ウスイロニセホンヤドカリ」(沖縄美ら海水族館提供)

 【本部】沖縄県本部町の美ら海水族館は、国内で昨年初めて発見した深海性ヤドカリ「ウスイロニセホンヤドカリ」の個体を展示している。これまでニューカレドニアやオーストラリアで生息が確認されていたが、今回の発見で分布の北限が更新された。水族館1階の「深海の小さな生き物」エリアで5月6日まで、2個体を展示する。

 沖縄美ら海水族館を管理運営する沖縄美ら島財団が2018年5月、伊江島沖の水深620メートルの地点で行った深海生物調査で、4個体を捕獲した。国内初確認であることが判明し、同財団魚類課技師の東地拓生さんと島根大学エスチュアリー研究センター客員研究員の大澤正幸さんが今月、共同で論文発表した。

 ウスイロニセホンヤドカリは、はさみの先端から尾までが約10センチある大型のヤドカリ。今回の発見で、生物分類上近いホンヤドカリ属よりハサミや甲羅の色が白っぽく淡いことなどが分かり、新称を命名した。

 東地さんは「沖縄周辺の深海は生物調査が進んでいない。今後も、新種の生物が発見される可能性を秘めている」と話した。