がん克服 最後の花道 大阪の65歳、福田さん 年齢制限で有終の美


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がんを克服し、レースに挑んで完走した福田壽治さん=14日、宮古島市平良の市陸上競技場

 「65歳、最後に完璧なトライアスロンでした」。32歳でトライアスロンを始めた福田壽治さん(65)=大阪府=は年齢制限により今大会が最後の出場となった。トライアスロン仲間や応援に駆け付けた知人らに見守られ、宮古島で最後のゴールテープを切った。

 宮古島大会は1994年の第10回大会が初参加。「スイムで泳ぐ魚が見えるレースは海外の大会でも他にない」とすっかり宮古島の魅力に取り付かれた。

 海外レースにも参加し、マレーシアの大会では45~49歳の年齢別で優勝、ハワイの世界選手権にも出場を果たした。選手としてベテランの域に達した58歳の冬、突然の宣告を受けた。

 福田さんを襲ったのは悪性リンパ腫だった。それでも入院中、パジャマを脱いでリハビリ室でバイクやランの練習に取り組んだ。抗がん剤治療が功を奏し、退院して2カ月後の大会で完走できるまで回復した。

 「おめでとう」。仲間たちに完走と卒業をたたえられ、照れくさそうに笑う福田さん。「こんなに疲れたのは初めて。もうトライアスロンはしない」と言いつつ、「でも、またどこかの大会に出ると思うけどね」といたずらっぽく笑った。