<政策点検・衆院沖縄3区補選>米軍基地問題 普天間返還 手法で相違


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 21日投開票の衆院沖縄3区補欠選挙は、県政与党が支援する屋良朝博氏(56)と自民公認の島尻安伊子氏(54)との一騎打ちとなった。米軍普天間飛行場の返還・移設問題など、基地問題全般への対応、次期沖縄振興計画の在り方や子どもの貧困解消に向けた教育・福祉政策などを中心に政策論争が活発化する。立候補した2氏の公約や姿勢を確認し、争点を洗う。 (’19衆院3区補選取材班)

 3区補選の最大の争点は普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非を含めた基地問題だ。屋良氏は辺野古移設に「反対」、島尻氏は「容認」と双方とも立場を明確にしている。いずれも早期の普天間の危険性除去では認識は一致しているが、その返還手法などで違いがある。

 屋良氏は、辺野古の埋め立てを必要としない普天間返還プランの策定を公約の柱に据える。KC130空中給油機の岩国基地への移転などを念頭に機能分散による危険性除去を訴える。

 島尻氏は、辺野古移設による普天間飛行場の全面返還は「危険性の除去と基地の整理縮小、そして負担軽減につながる」と強調。普天間基地の全面返還に全力で取り組むとした。

 一方、普天間飛行場に配備されているMV22オスプレイについては、屋良氏が「配備撤回」、島尻氏は「訓練の分散移転」を訴えるなど違いが出た。

 米軍関係者による事件・事故の温床になっているとの指摘もある日米地位協定については双方とも「抜本的改定」で一致している。屋良氏は基地管理権の日本側への移管や航空特例法の撤廃、基地内の国内法適用などを掲げる。島尻氏も、基地管理権の確立を掲げるほか、米軍関係者の起訴前引き渡しの明文化なども盛り込んだ。

 沖縄3区内の課題ではないが、那覇軍港の浦添市への移設についても両者の立場は異なる。屋良氏は「県議会決議の『海兵隊撤退』で全て網羅できる問題だ。グランドデザインを描き、それに基づいて総合調整役を県が担えばいい」とした。島尻氏は、沖縄発展のために「早期に返還すべきだ」とした上で「県には関係者の協議をリードしてほしい」と、移設協議の進展を要望した。