<政策点検・衆院沖縄3区補選>経済振興 沖振法延長などで違い


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 沖縄振興特別措置法が2021年度に期限切れを迎える。県は日本復帰50年を見据えた次期沖縄振興計画の策定に着手しており、沖縄振興の在り方は衆院沖縄3区補欠選挙でも主要争点だ。屋良朝博氏(56)=無所属・新=、島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明、維新推薦・新=は自立型経済の構築に向けた沖縄振興計画の策定を重要政策に位置付けている。

 一方、現行の沖縄振興法の延長については、両候補とも単純延長には否定的な見解を示す。

 屋良氏は「現状のままの延長は望ましくない」として「沖縄21世紀ビジョンを政府が支援する仕組みに変える必要がある」と強調。「規制緩和と制度改革でアジアにおけるビジネス・物流拠点整備、観光と情報通信産業振興で、正規雇用の確保と失業率改善を図ることが必要だ」と主張する。

 島尻氏は「強く自律した沖縄の実現」のためには「引き続き沖振法を延長し、2022年度からの第6次の振興計画は必要不可欠だ」と主張する。その上で「これまでの計画からは抜け落ちている暮らしや医療、教育、福祉などのソフト面も重点的に書き込んでいくべきだ」とした。

 減額が続く一括交付金の在り方を巡っても双方の見解に違いが見られた。

 屋良氏は制度自体は「評価する」としたものの「沖縄の自由裁量を政府が逆手に取る実態がある」と批判し「自民党には沖縄の民意を操ろうとする危ない思考がある」とした。

 島尻氏も一括交付金制度を「評価」するとした上で「市町村が地域の課題、政策課題に迅速、柔軟に対応できるよう沖縄振興特定事業推進費も補完的に活用すべきだ」と主張した。

 全国と開きがある県民所得の向上に向けては、屋良氏は「官民一体で1次から3次産業を連携させる事業や制度整備が必要だ。特に農業と製造業が成り立つ仕組みを再構築すべきだ」と提言する。島尻氏は「生産性向上や高付加価値化、物流面での地理的特性で本土に追い付け追い越せの姿勢で産業政策や次期振計の議論をリードしたい」と主張した。