<政策点検・衆院沖縄3区補選>交通政策・観光 渋滞解消策、観光税に違い


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 沖縄の慢性化する交通渋滞は県民の暮らしだけでなく、観光産業促進の上でも大きな課題となっている。公共交通機関としての鉄軌道の導入について、屋良朝博氏(56)=無所属・新=、島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明、維新推薦・新=は共に「賛成」で一致した。一方、渋滞解消の具体的な交通政策では、異なる方策を提唱している。

 屋良氏は那覇市への一極集中の分散化に向け、鉄軌道のほかにLRT(次世代型路面電車)の導入を構想する。本島北部、中部、南部の路面電車の環状線構想を打ち出し「連結すれば縦貫軌道ができる」と期待する。米軍嘉手納基地の段階的な縮小で「国道58号と国道329号を結ぶ道路の開通」も視野に入れる。

 島尻氏は、特に交通渋滞の深刻な高速道路の周辺整備を重点政策の一つに掲げる。「うるま」「池武当」インターチェンジの新設のほか、沖縄市が計画を進める多目的アリーナへの直通道路の開通を見据える。北部地域では「名護東道路の延伸や道の駅許田の拡充により、渋滞緩和を図る」との考えだ。

 観光客増加に伴い、県が検討している観光目的税制度については意見が分かれた。

 屋良氏は「新たな財源の確保が必要」として「賛成」の立場だ。玉城デニー知事が提起する「観光・環境協力税(仮称)」については「関係者との丁寧な調整と徴税方法を検討し早期実現を図るべきだ」との見方を示す。

 島尻氏は「世界レベルの観光地として受け入れ態勢の充実と強化を図る必要性は理解できる」としながらも、好調な観光業を下向きにさせないよう「既に導入されている自治体の状況を踏まえて検討すべきだ」と慎重な姿勢だ。

 その他の観光政策として、屋良氏は世界自然遺産登録を見据えた体験型観光の推進、LRTと連動した周遊観光を挙げる。島尻氏は、勝連城跡周辺の文化・観光拠点づくり、高速船と連携した交通網整備を掲げる。