沖縄で新たなエンタメスポット始動 観光客向けに伝統芸能公演「ネオ・リュウキュウ」


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 観光客をターゲットにしたエンターテインメントステージ「NEO Ryukyu(ネオ リュウキュウ)」が16日、沖縄県那覇市の「R.COM(ルーム)」で始まった。ステージを手掛けるNEO RYUKYU合同会社(与那覇仁代表)に所属するパフォーマー4人が約40分間、エイサーや創作舞踊、獅子舞を披露した。与那覇代表は「観光客に沖縄の文化芸能を伝えるだけでなく、沖縄の伝統芸能に関わる人が、芸能そのもので食べていける環境を創りたい」と瞳を輝かす。

躍動感あふれるエイサーを披露する「NEO RYUKYU」の(左から)川上康治、吉田翔、与那覇仁=16日、那覇市の「R.COM」

 舞台は与那覇代表、川上康治、吉田翔の勇壮なエイサーで幕を開けた。創作舞踊は、ポップにアレンジされた「てぃんさぐぬ花」にのせて花笠をかぶった友利未歩が、四つ竹を鳴らして優雅に踊った。舞台と客席を駆け回り、観客と触れ合う獅子舞の姿に会場からは歓声が上がった。観客を舞台に上げてのエイサー体験をさせたり英語を交えてアナウンスをしたりするなど、観光客を楽しませる工夫が見られた。

 与那覇代表を含むパフォーマーの4人は平均年齢23歳。1997年に結成された創作エイサー団体「那覇太鼓」出身者が務める。那覇太鼓は、団体の活動と県文化振興会による「沖縄芸能マグネットコンテンツ舞台公演」の一環である「NEO EISA」を通して国内外の舞台に立ってきた。与那覇代表は、活動を通して芸能で食べることの難しさを感じたが、芸能で食べていきたいという思いを強くしていったという。

「将来は100ドルでも見てもらえる舞台にしたい」と語る与那覇仁代表

 与那覇代表は昨年、自治体による起業を目指す人を対象にしたスタートアップセミナーに参加し、「NEO―」設立へ構想を固めていった。思いに共感した「R.COM」のオーナーに、会場を安価で貸してもらえることが決まり追い風になった。自身の貯金だけでなく、先輩からも出資金を提供してもらい起業を実現し、開演の日を迎えた。

 初日公演は知名度が低く空席も目立ったが、エイサー体験をした浦崎共行さん(43)=那覇市=は「出演者と距離が近く楽しめたし、熱意も感じた。活動を応援したい」と話すなど、来場した観客からは好評だ。定期的に舞台が行われることでさらなる質の向上も期待される。

 与那覇代表は「海外では、一定以上のお金を払って芸能を見ることが観光客にも理解されている。将来は、パフォーマーも増やし、100ドルでも見てもらえる舞台に仕上げたい。その第一歩だ」と力を込めた。

 「NEO Ryukyu」は毎週火、水、金曜は午後4時と8時、木曜は午後4時開演。チケットは20歳以上3500円、20歳未満2500円(共に1ドリンク付き)。未就学児無料。詳細は同社ホームページhttps://www.neoryukyu.com
 (藤村謙吾)