クラゲが泳ぐ遺伝子群を発見 サンゴと比較しゲノム解明 OIST研究チーム


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コンスタンチン・カールツリン博士らがゲノム解析を進めたミズクラゲ。ゲノムはヒクラゲよりサンゴやイソギンチャクに近いことが分かった(OIST提供)

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)のコンスタンチン・カールツリン博士らの研究チームがこのほど、クラゲが海中へと泳ぎ出す遺伝子群を突き止めた。15日発行の科学誌「ネイチャー・エコロジー&エボリューション」に論文を発表した。

 クラゲは成長初期の段階、花の茎のような形をしていて、サンゴやイソギンチャクのように海底にくっついているが、成長すると変態して海中に漂う。

 カールツリン博士らはミズクラゲとヒクラゲのゲノム(全遺伝情報)を解明し、サンゴやイソギンチャクのゲノムを比較。変態の際に初めてスイッチが入り、泳ぐための筋肉や目をつくる約100の遺伝子が両クラゲに共通していることを発見した。

海底に固着する「ポリプ世代」から「クラゲ世代」へと変態を始めたヒクラゲ(OIST提供)

 遺伝子を比較する過程で、ミズクラゲの遺伝子の序列がサンゴやイソギンチャクなどの「花虫網」によく似ている一方、ミズクラゲとヒクラゲはほとんど一致が見られず、ヒトとウニほど離れていることも分かった。

 研究チームは沖縄に生息するハブクラゲのゲノム解明も行い、クラゲの進化の過程を明らかにすることを目指している。