<政策点検・衆院沖縄3区補選>政権・原発・漁業 アベノミクス評価に相違


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 10月に予定される消費税の引き上げを前に、国内では安倍政権の経済政策である「アベノミクス」の成果を巡って、毎月勤労統計の不正問題が発覚して以降、新たな議論が出ている。屋良朝博氏(56)=無所属・新=と、島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明、維新推薦・新=はアベノミクスの評価について見解が分かれた。

 屋良氏は「評価できない」とした上で、その理由について「大量の国債を発行させ円安を誘導し、一時的に景気を浮揚させただけで、実体経済が良くなったわけでない」と批判する。島尻氏はアベノミクスは「道半ば」としつつ「県内の有効求人倍率は1倍を超え、失業率は復帰後最低の2%を記録するなど『雇用』面では確実に効果を上げている」と評価した。

 安倍政権が推進する原発再稼働についても評価は分かれた。屋良氏は、東京電力福島第1原発事故以降、世界的に脱原発・再生エネルギー利用の動きが広まっているとして「日本も脱原発政策へ転換すべきだ。再稼働はその方向に逆行している」と再稼働に反対の立場を示す。島尻氏は安倍政権と足並みをそろえ、再稼働に「賛成」の立場だ。一方で「いかなる事情よりも安全性の確保を最優先に、原子力規制委員会の新規制基準に適合する原発のみ再稼働を進めるべきだ」と慎重姿勢を示す。

 尖閣諸島周辺の漁業権を巡る日台漁業取り決め(協定)については双方とも「見直すべきだ」で一致した。屋良氏は「日・中・台の漁業協定の下での安定した操業の実現が求められる」とした。一方、日中漁業協定について「北緯27度以南の協議を約束していたにもかかわらず、実現していない。中国、台湾との協議を急がなければならない」と注文を付けた。島尻氏は、協定が結ばれた2013年以来、「トラブル防止に向けて一定の前進があったと受け止めている」と一定の評価を示しつつ「地元の漁業者が抱える不満解消に向けて、19年度の操業ルール見直しの場などで十分に協議すべきだ」とした。
 (おわり)