聴覚障がい者の「デフバスケットボール」を知っていますか? 日本代表に豊里凜(読谷高校)選出


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 聴覚障がい者によるデフバスケットボールの第5回世界選手権大会(6月27日~7月6日、ポーランド)の日本代表に読谷高校2年の豊里凜(16)が選出された。先天性の感音性難聴の豊里は北玉小2年生の時に教諭の誘いでバスケを始め、夢中で続けてきた。高校からデフバスケに出合い、福岡のチームに所属した。3月の全国大会では優勝して最優秀選手賞も受賞した。そして日本代表へ。とんとん拍子で駆け上がることに自分自身も驚いているが「周りの人々への感謝を忘れず、世界の舞台へ臨みたい」と胸を高鳴らせている。

練習に汗を流す豊里凜(左)=17日、読谷高校

 豊里は1歳半の頃に耳が聞こえないことが分かり、補聴器を付けながら訓練を始めた。小学校では教諭に聞こえを改善させるためのFMマイクを付けてもらい、ノートテイク(要約筆記)の支援員がついた。相手の口の動きを読みながらの日常会話はほぼ慣れたものだ。

 バスケとの出合いは北玉小2年のころ。手話ができた当時のバスケ部顧問との対話から興味を持った。豊里に入部の許可をせがまれたという母親のあすかさん(35)は「元々活発な子だったので周囲の動きを見て頑張っていた」と振り返る。補聴器の使用については「大勢の中では聞き分けにくく、試合では隣のコートの笛を勘違いすることもある」と豊里。読谷高校では友人らが指文字や手話で支えてくれている。

 デフバスケの道に進んだのはあすかさんがインターネットでデフバスケットリーグの存在を見つけたことがきっかけだった。高校で所属した福岡のチームでの練習は大会前の短い期間だが昨年の全国大会は3位。今年3月は全国優勝を果たした。豊里は「幅広い年齢層の中に健常者もいてレベルが高い」と刺激を受けているという。あすかさんも「同じ境遇の仲間と分かり合う部分があり、とても楽しんでいる様子。よくスマホでやりとりしている」と見守っている。

 日本代表に選出されたことには多くの反響があり、あすかさんも「耳が聞こえなくても、やればできるということを知ってほしい」と喜ぶ。豊里は「海外に比べ日本人は体が小さいのでぶつかって飛ばされないようにして、自分ができるプレーを全力でしていきたい」と意気込んだ。

 日本デフバスケットボール協会は世界選手権へ渡航費の援助を求めて、22日から目標金額百万円のクラウドファンディングを開始している。期間は5月31日まで。
 (嘉陽拓也)