那覇軍港移設 県、那覇市の「北側案」、浦添市の「南側案」とは?


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 約2年ぶりとなった那覇軍港移設に関する協議会は、浦添市が南側案を主張した上で県、那覇市を含む3者が今後検討に入ることを確認し、わずか15分で終了した。3者が協議会開催の意義を強調する一方、移設場所に関する議論は後回しになった形で、「北側」か「南側」かを巡る対立の着地点が見通せているわけではないのが実情だ。

 「改めてキックオフという形で、内部で調整していくことになった」。浦添市の野口広行副市長は協議会終了後、記者団にこう説明した。浦添市が掲げる南側案は、県や那覇市が求める北側案よりも埋め立て面積を小さくし、西向きのビーチやクルーズ船バースとマリーナを配置。軍港と民間の港を一体化させた案になっている。

 これに対し、北側案を推してきた県や那覇市は、軍港部分を一体化させると民港での物流産業の発展が阻害されるとして南側案には難色を示してきた。

 23日の協議会終了後、那覇市の関係者は「物流を考えても民港のど真ん中に軍港が居座るのは避けた方がいい」と語り、あくまでも「北側」案を軸に議論を進めるべきだとの考えを示した。

 協議会の開催を受け、松本哲治浦添市長は「2年間進まずやきもきしていたが、再スタートが切れてよかった」と語り、城間幹子那覇市長は「移設への取り組みが進むことを期待する」とのコメントを発表した。ただ今後の具体的な検討の中で見解の相違や対立が表面化する可能性は残っている。

 一方、協議会を構成する政府側は静観する構えだ。岩屋毅防衛相は23日の会見で「地元でよく意見を調整していただくことが必要だ。地元のコンセンサス(合意)ができあがれば、それに沿って防衛省としてしっかり努力させていただきたい」と述べ、地元の決断に従う考えを示した。防衛省関係者は「辺野古移設の問題と違って、那覇軍港を移設すること自体には地元に異論はない」と話す。