玉城知事が中国とつながりたいわけ 〝債務付け〟、軍事リスク懸念も…


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 玉城デニー知事が訪中時に面談した中国の胡春華副首相に対し、沖縄を中国の広域経済圏構想「一帯一路」の日本の入り口として活用するよう提案した。同構想については巨額の融資によって中国に“債務漬け”にされるとの懸念もあるが、玉城知事は「情報収集しながら、どう関わっていけるか模索していく」と積極姿勢を示す。背景には玉城知事の「平和の緩衝地帯として沖縄から恒久平和を発信していく」という強い信念がある。

 玉城県政は現在、翁長前県政が掲げたアジア経済戦略構想推進計画を推進している。同構想はアジア経済のダイナミズムを沖縄の自立型経済の構築に生かすことを想定しており、中国政府が進める「一帯一路」の活用が県経済をさらに発展させるチャンスとみることもできる。

 ただ、尖閣諸島周辺の中国船籍による領海侵入など沖縄を取り巻く安全保障環境は不安定さを増しており、軍事力を強化する中国への警戒も政府には根強い。「国際交流、経済交流で国家間のつながりを深化させていくことは有益だ」と強調する玉城知事の、沖縄を“平和の懸け橋”の拠点にした対日米中の全方位外交の手腕が試されそうだ。