「子どもは地域の宝」 宮古島の入学祝い 地域住民駆け付け盛大に


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 【宮古島】「入学おめでとう」と書かれた大看板が居間に掲げられ、テーブルにはごちそうが並ぶ。次々とやってくる来訪客とビールや泡盛を片手に談笑する男性たち。忙しそうに台所を行き来しながら料理を出す女性たち。訪れるたくさんの人たちから「おめでとう」と声を掛けられ、ピカピカのランドセルのそばでうれしそうな笑顔を浮かべる子ども。宮古島の「入学祝い」の風景だ。

今年4月に新1年生になった盛島健介さん(前列右から3人目)と、盛島家の入学祝いに駆け付けた家族親戚や地域の人たち=9日、宮古島市平良西原

 宮古島市内の小学校に転勤し、昨年4月から市平良西原に住む盛島秀耶さん(33)=小学校教諭=の長男・健介さん(6)が今年4月、市立西辺小学校に入学した。市内小学校の入学式が行われた9日の午後から、盛島家には親戚縁者のみならず、近隣の地域住民、保護者の知人友人や職場の同僚、学校関係者らが続々と訪れ、新1年生になった健介さんを祝った。この日は120人以上が訪れたという。

 秀耶さんは「本島では見たことも聞いたこともないお祝いだったので、びっくりした」と驚きながらも「地域の人たちが子どもを宝に思ってくれていることを実感した」とほほ笑んだ。宮古地域では特に小学校の入学祝いと、高校の合格祝いが盛大に行われる。新1年生がいる家庭では、早朝から家族親戚が集まり、料理や酒などを準備して訪れる人たちを迎える。夕方ごろから人が増え始め、三線の音色に合わせて踊ったり、宮古名物の「オトーリ」を回したりする。

 たくさんの人に入学を祝われた健介さんは「いっぱい『おめでとう』って言われてうれしかった。小学校では勉強も頑張って、バスケットもやりたい」と満面の笑みを浮かべた。

 健介さんの祖父・明秀さん(63)は「盛島家から西辺小への50年ぶりの入学生で、こんなにうれしいことはない」と喜ぶ。「西辺地域は特に人と人とのつながりを大切にする。子どもは地域で育てていかないといけない」と話し、喜ぶ健介さんを見つめながら目を細めた。