沖縄観光に新たな可能性 武道ツーリズムで外国人を呼び込む


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空手を学ぶ道場和流の生徒たち=20日、豊見城市の沖縄空手会館

 【豊見城】スイスで日本の武道を学ぶ「道場和流」はこのほど、3歳から81歳までの生徒71人を連れて沖縄を訪れ、豊見城市の沖縄空手会館で空手や合気柔術、居合道、太極拳の講習を受けた。日本での滞在期間は13~27日。今回のツアーの一部を手配した空手家専門の旅行会社アゲシオジャパン(那覇市)の上田健次郎社長は「一道場でこれほどの規模の武道ツーリズムは、沖縄では初めてではないか」と驚いている。

 道場和流はスイスで三つの道場を経営し、スイス人とポーランド人の生徒がいる。これまでも沖縄での武道合宿を実施している上、沖縄から講師を招いて指導を受けている。

 道場主のスイス人、ソラヤ・バレレさん(35)は「沖縄の文化が好きだ。沖縄で武道のほかにもライフスタイルや健康長寿についても学びたかった。今回来た生徒は沖縄の文化を発見し、学んだと思う」と笑顔で話した。夫のオリヴィアさん(47)は「四つの武道を学べてうれしい。いろいろな武道を学んで視野を広げたい」と意気込んだ。

 全参加者のうち22人が子どもだ。日によってさまざまな武道が学べるよう工夫がされている。21日は地元の空手教室に通う子どもたちとの交流もあった。

 講師の一人、居合道の八幡流実戦抜刀術師範の濱本久男さん(83)=那覇市=は「外国人が日本の文化に興味を持ってくれてうれしい。日本の精神文化を学んで海外で広めてほしい」と話した。

 一行は、沖縄に来る前に京都や大阪に滞在し観光した。17日から訪れた沖縄でも各武道の師範が指導する合間に首里城などを観光した。上田社長は「武道ツーリズムの推進を国が掲げている中、それに沿った形になっている。沖縄の空手だけでは海外ではまだまだ知名度が低い。武道全般で沖縄に外国人観光客を呼びたい」と語った。