“助け合い”からスタート 沖縄海邦銀行創業70年 上地英由頭取インタビュー「時代に合わせた変化を」


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 1日に創業70周年を迎える沖縄海邦銀行の上地英由頭取に、これまでの歩みや今後の戦略などを聞いた。

 ―創業70周年を迎える感想は。

 「全役職員や銀行をつくってくれたOBOG、取引先や地域社会、そして県民に感謝したい。皆さんの支えがあってこその70年だと思う。地域密着に徹して地域社会の発展に寄与することを社是としている。沖縄無尽と那覇無尽の創業、相互銀行への転換、祖国復帰などの歴史を経て、県内にしか営業店のない銀行として沖縄の経済発展とともに成長してきた」

 ―無尽から始まった歴史を持つ。

 「無尽の本質は助け合い。小規模零細企業や個人が、事業をしたい時に皆からお金を集めて利用した。われわれのDNAとして、中小・小規模のお客さまがコア(核)だという気持ちをずっと持ち続けている」

 ―頭取が入行した当時と比べて金融環境の変化は。

 「1976年の入行当時は預金を集めることが一番重要だった。預金を集めれば利益が出る時代で、定期預金でも5~6%、貸し付けでは7~8%の利率が付いていた。金融環境は信じられないくらい様変わりしている。預金を集め貸して利ざやで稼ぐという本業は変わっていないが、中身はまるで違っている」

 ―現在の沖縄経済についてどう考えるか。

 「観光業を中心に建設業なども好調で、資金需要も旺盛だ。他府県の地方銀行に比べ環境的には恵まれている。しかし観光は9・11など大きな変化があると一気に冷え込む。製造業が極端に少ない県なので、常に備えと覚悟は必要になる」

 ―競争環境の変化は。

 「県外地銀の鹿児島銀行が2支店も構えるということは、沖縄での資金需要を現実のものとして感じたからこそだと思う。確実に競争は激化している。一方で現在ではメガバンクを中心に店舗数を減らす動きなどもかなり進んでいる」

 ―デジタル化の対応は。

 「デジタル化は避けて通れない。10連休後にシステムの共同化に踏み切る。それが終われば本格的にデジタル部門への人材投入が必要になる。キャッシュレスなどにマンパワーを向けていく。そうせざるを得ないし、そういう世界に踏み込まないと地方銀行の生き残りはできない」

 ―今後の成長戦略は。

 「やはり地元企業として、地域にどう密着してお客さまの要望にどうお答えするかが問われてくる。顧客が望む金融商品も含めて全てに対応する総合金融で生き残るしかない」

 「変化は早い。3年後には現在と全く違う環境もあり得る。今後100年企業に向けて生き残るには変化に対応していくしかない。時代にあった経営スタイルを常に議論しながら臨機応変に展開していく」

 (聞き手 沖田有吾)