サーキットのない沖縄から世界へ挑戦する中学年2年生 2018年鈴鹿王者の平安山良馬


社会
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初の国際大会も「優勝したい」と意気込む平安山良馬

 5月12日にタイで開催されるカートレースの「イアメ シリーズアジア2019」の第2戦にスポット参戦(一時的に参戦)する中学2年生がいる。2018年の鈴鹿選手権シリーズカートレースIN SUZUKAのパリラx30クラスの全5戦中3勝して頂点に立ち、その実力が買われた平安山良馬(興南中2年)だ。平安山は「世界で活躍するフォーミュラレーサーになる」夢の実現のため、引き寄せたチャンスを握りしめて初の国際大会に挑む。

 幼少期から車が好きだった。小学3年にラジコンイベントを観に行ったククル読谷サーキットでカートの練習風景を見て、本物のモータースポーツに一目惚れした。カートチームのスクーデリア沖縄で学び、小学6年から鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)に通い始めた。SRSの講師が運営する「VITEC racing」に所属し、2016年から鈴鹿選手権シリーズのジュニアマックスクラスに参戦。18年には支援者の縁のおかげで強豪選手が所属する「Team EMATY」に移籍した。新しい環境は「練習から厳しいけど、そのすべてが自分の技術となる」と吸収し続けた。

 同年、x30クラスに挑戦した。父の良太さん(41)は「修行の年」と結果は求めていなかったが、第1戦は予選から2位。全20周決勝レースは4周目で仕掛けてトップに躍り出ると「楽しんで走っていたら優勝していた」。SRSでは「中くらいの成績だった」が、1つのレースから勝負勘を得ると第3、5戦でも優勝して年間王者となった。

 注目を浴びる一方で、レースが近づくと沖縄を出発する前から緊張し、本番前は「吐きそうで手足も震える」。サーキットのない沖縄から空路で参加するのは平安山だけ。少ない機会を無駄にしたくないハングリー精神が自分に打ち勝つ原動力となっている。

 鈴鹿選手権で結果を残すが、現在の主戦場は全日本選手権FS125。これまで最高5位で年間ランキングも20番台。入れ込みすぎない距離で支える良太さんは「走りの強さは去年より明らかに良くなっている」と、息子の成長を実感している。

 全日本を含め、夢へのステップアップと、期待する人々のために「イアメシリーズ」の結果にこだわる。海外選手の出会いを「楽しみ」ながら「絶対優勝したい」と強い気持ちで世界へ乗り込んでいく。
 (嘉陽拓也)