厚かったA東京の壁 波に乗りきれなかったキングス CS準決勝第3戦


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CS準決勝第3戦 キングス―A東京 第3Q 相手ディフェンスを抑えシュートを放つ田代直希=7日午後、沖縄市体育館(新里圭蔵撮影)

 第2Qで大きく引き離されたが、激しい守備から息を吹き返し始めた第3Qに、田代直希はマークマンを振り切って連続3点弾を沈め、差を縮めた。

 しかし、A東京の壁は厚かった。「12点差で終わっているが、今日の試合ではやってる感覚で差はある。まだまだファイナルへの道のりは遠いなと思った」と肩を落とした。

 第3戦は第2Qで引き離されたが、第3Qに並里成や古川孝敏と粘り、約2分すぎに相手から24秒バイオレーションを奪う。そこから古川やケビン・ジョーンズの活躍で波に乗りかけたが、強者のA東京がそれを許さない。

 田代は守備の1対1で「予測すると逆を付かれる」と昨季覇者の修正力に苦しんだ。さらに勝負所ではタフショットすら決めきるA東京の実力に「勢いに乗っていると、そういうシュートは決まる。東京さんを長い時間、乗せてしまった」と、反省点は多い様子だった。

 昨季は「アグレッシブさだけでプレーしていた」と言うように、CSでは達成感を得られなかった。だが、この1年で出場時間の短さやシュートミスなどで「一喜一憂することを止めたことで精神的にも成長できた」という。

 今季も準決勝で止まり、決勝進出はならなかったが「得るものはかなり大きかった。充実したポストシーズンで成長はたくさんできたかなと思います」と、晴れやかな表情も見せた。
 (嘉陽拓也)


プレー精度、勝敗分ける

 プロバスケットボールBリーグ1部のチャンピオンシップ(CS)2018―19の準決勝第3戦は7日、沖縄市体育館で行われ、琉球ゴールデンキングスは60―72でアルバルク東京に敗れた。第2戦で逆襲したキングスだが、第3戦はA東京がもう一段階ギアを高めた厚い守備を展開。キングスは第2Qだけで6―21に抑えられ、主導権を握られた。キングスも第3Qから田代直希や橋本竜馬などの活躍で一時盛り返しかけたが、A東京の高い修正力に勢いは長くは続かない。ターンオーバーはキングス13、東京4。CSという大舞台で精密なプレーを発揮する強豪チームとの差を見せつけられた。11日の決勝のカードは昨季のCS同様に千葉ジェッツとA東京となった。

【チャンピオンシップ】準決勝第3戦(沖縄市体育館、3691人)

A東京(ワイルドC)2勝1敗
 72―60(17―18,21―6,16―15,18―21)
キングス(西地区1位)1勝2敗
(A東京は決勝進出)

 【評】スイッチ守備の重圧でA東京のシュート精度を下げたキングスは、攻守のリバウンドで勢いを付けリードした。第2Qは相手の重圧にシュートが入らず、勢いに乗せてしまい24―38と引き離される。後半は強度を上げた守備で巻き返しかけたが、A東京にタフショットを打たされてしまう。第2Qの失速に加えて、シュート精度の差が点差に表れた。守り負けた内容だった。

◆「次は決勝に」決意 佐々HC、ファンに感謝

 昨季覇者のA東京に1勝したが第3戦は守備から力負けした。試合終了後、佐々宜央HCは声を震わせながら「ファンの支えを感じ1年乗り越えられた。沖縄ファミリーの魂は続く。次は決勝に行けるようにしたい」と大声で感謝の思いを表した。

 就任1年目のCS準決勝は千葉に2敗して敗れたが、今回は昨季覇者から1勝を奪った。

 指揮官は「こみ上げるものがあるのは、今年懸けているものが違ったということ」と何度も悔しがった。

 選手の負傷という試練を乗り越え、CSで団結も見せたが「負けたということはそれでも足りなかった」。ホーム開催で「勝ち負けの大事さを沖縄に財産として残したい。今後も引き続きご声援いただきたい」と語った。

◆良いできだった

 ルカ・パビチェビッチHC(A東京)の話 琉球は素晴らしい選手とHCで構成されており、このチームから2勝するのは、ミスなくいい形ではないとなかなか勝てない。沖縄の激しいプレーの中で我々のターンオーバー四つは良いできだった。