勝敗を分けたプレー精度 差を実感も前を向く CS準決勝第3戦


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第4Q 相手シュートをブロックするアイラ・ブラウン(中央)=7日午後、沖縄市体育館(田中芳撮影)

 守備に強いキングスとしてシーズンとCSを勝ち上がってきたが、総合力の高いA東京の守備の強度はもう一段階高かった。キングスはボールがなかなか回らず、いい形で放つシュートもリングに嫌われてしまう。佐々宜央HCは「A東京は第3戦でギアを上げてきた。第1Qは戦えたが第4Q全ては戦えない。ホーム開催の中で惜しい(内容)とは思えない。本気を出させたぐらい」と、強者との差を真摯(しんし)に受け止めた。

 序盤は互いに堅守を発揮して、激しいマークやパスコースを抑えるディナイでぶつかり合ったが、第2Qのスコア6―21が響いた。「戦術の前段階でどれだけ激しくプレッシャーをかけるか」(佐々HC)。互いにタフショットはあったがキングスは外れ、勢いに乗るA東京は決めてしまう。その差を岸本隆一は「連係と経験の差。それを支える優勝したチームの自信を感じた」と痛感したという。

 それでもあきらめず、田代直希や橋本竜馬の激しさとビッグマンらのフィジカル勝負で後半、波に乗りかける部分は多くあったが、今季課題のターンオーバーも敗因の一つになった。

 今季はこれで終わる。選手のけがや5連敗など試練の数々を越えてきた1年を振り返り、岸本は「まだ反省の弁は言いたくない。複雑な心境」としながらも、「下を向く試合内容ではない。前を向くチームの姿勢は誇れる部分だと思う」と、主将のプライドで力強く語った。
 (嘉陽拓也)


プレー精度、勝敗分ける

 プロバスケットボールBリーグ1部のチャンピオンシップ(CS)2018―19の準決勝第3戦は7日、沖縄市体育館で行われ、琉球ゴールデンキングスは60―72でアルバルク東京に敗れた。第2戦で逆襲したキングスだが、第3戦はA東京がもう一段階ギアを高めた厚い守備を展開。キングスは第2Qだけで6―21に抑えられ、主導権を握られた。キングスも第3Qから田代直希や橋本竜馬などの活躍で一時盛り返しかけたが、A東京の高い修正力に勢いは長くは続かない。ターンオーバーはキングス13、東京4。CSという大舞台で精密なプレーを発揮する強豪チームとの差を見せつけられた。11日の決勝のカードは昨季のCS同様に千葉ジェッツとA東京となった。

【チャンピオンシップ】準決勝第3戦(沖縄市体育館、3691人)

A東京(ワイルドC)2勝1敗
 72―60(17―18,21―6,16―15,18―21)
キングス(西地区1位)1勝2敗
(A東京は決勝進出)

 【評】スイッチ守備の重圧でA東京のシュート精度を下げたキングスは、攻守のリバウンドで勢いを付けリードした。第2Qは相手の重圧にシュートが入らず、勢いに乗せてしまい24―38と引き離される。後半は強度を上げた守備で巻き返しかけたが、A東京にタフショットを打たされてしまう。第2Qの失速に加えて、シュート精度の差が点差に表れた。守り負けた内容だった。

◆「次は決勝に」決意 佐々HC、ファンに感謝

 昨季覇者のA東京に1勝したが第3戦は守備から力負けした。試合終了後、佐々宜央HCは声を震わせながら「ファンの支えを感じ1年乗り越えられた。沖縄ファミリーの魂は続く。次は決勝に行けるようにしたい」と大声で感謝の思いを表した。

 就任1年目のCS準決勝は千葉に2敗して敗れたが、今回は昨季覇者から1勝を奪った。

 指揮官は「こみ上げるものがあるのは、今年懸けているものが違ったということ」と何度も悔しがった。

 選手の負傷という試練を乗り越え、CSで団結も見せたが「負けたということはそれでも足りなかった」。ホーム開催で「勝ち負けの大事さを沖縄に財産として残したい。今後も引き続きご声援いただきたい」と語った。

◆良いできだった

 ルカ・パビチェビッチHC(A東京)の話 琉球は素晴らしい選手とHCで構成されており、このチームから2勝するのは、ミスなくいい形ではないとなかなか勝てない。沖縄の激しいプレーの中で我々のターンオーバー四つは良いできだった。