ポピーだと思ったらけしだった… 沖縄本島北部で禁止けし千本超 園芸愛好家が違法と知らず栽培 県と麻取が破棄


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本島北部で栽培されていた違法なけし「ソムニフェルム種」(県衛生薬務課薬務室提供)

 沖縄県衛生薬務課薬務室は8日、あへん法で禁止されているけしの一種「ソムニフェルム種」が県内で確認されたと発表した。九州厚生局沖縄麻薬取締支所と合同で調査し、本島北部に住む園芸愛好家ら11人が栽培する計1049本を確認し、廃棄。いずれも違法との認識はなく「きれいな花だ」と育てていた。けしは沖縄では自生せず、同室の担当者は「県内での除去事例はこの20年で聞いたことがない」としている。

 同室によると4月17日、名護市の男性から「栽培しているポピーが違法なけしかもしれない」と北部保健所に通報があった。沖縄麻薬取締支所と男性の下を訪れ、栽培が禁じられているソムニフェルム種を確認した。桃色の八重咲きの花を付け、アヘンを抽出する成分を持つ。男性は名護市内の植木市で“ポピー”として売られているのを購入したという。

 流通ルートを調べたところ、園芸愛好家が種や苗を譲ったり、植木市で販売されたりしていたことが判明。元は同じ種から広がっていったとみられ、男女11人が栽培しているのを確認した。ただ、亡くなっている関係者もおり、どこから入手したものかは分からなかった。

 販売者も栽培者も違法との認識はなかったため、罰則は受けないが、県と沖縄麻薬取締支所は、指導と注意喚起を行った。

 4~6月はけしの花が咲く時期で、5~6月は不正大麻・けし撲滅運動の期間となっている。同室の池間博則室長は「沖縄ではなじみがなく、気付きにくいかもしれない」とする一方、違法なけしを見つけた場合は通報するよう呼び掛けている。