全盲のトライアスリート 大久保の挑戦加速 19日横浜でレース ガイド齋藤と二人三脚


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石垣島トライアスロン大会2019でランに挑む大久保篤志(左)と齋藤譲二=4月21日、石垣島(大久保篤志さん提供)

 二人三脚で鉄人レースに挑戦―。広島県出身で全盲の大久保篤志(47)=那覇市=がトライアスロン歴15年の齋藤譲二(44)=豊見城市、北海道出身=と共に19日、神奈川県で開かれるトライアスロン・パラトライアスロンシリーズ横浜大会に出場する。4月の石垣島トライアスロンに続き2度目の挑戦。県内外で水泳やマラソンの大会に参加してきた大久保は「トライアスロンをやりたいと思っても、ガイドがいなかった。齋藤さんや支えてくれる人たちに感謝しながら楽しみたい」と抱負を語る。

 大久保は25歳の時に難病のベーチェット病と診断された。療養のため2000年に沖縄に移り住んだ。30歳で視力を失ったが、水泳とマラソンに挑戦している。障がいのある3人で「チームCAN」としてスイム、バイク、ランに分かれて久米島トライアスロンなどにも出場した。

 「単独でトライアスロンに出たい」という目標ができたが、一緒に参加するガイドが見つからなかった。2018年4月、チームCANの赤嶺政則の紹介で齋藤と出会い、家で自転車の練習を始めた。

石垣島トライアスロン大会2019で、齋藤譲二(先頭)と息を合わせて自転車をこぐ大久保篤志=4月21日、石垣島(大久保篤志さん提供)

 齋藤は15年ほど前から宮古島やハワイなどのトライアスロン大会に出場する。5年前に沖縄に移住するまでは、山形県の障がい者スポーツクラブチームヴァルハラでパラトライアスロンのガイドを務めた。

 横浜大会には、世界中から約1900人が参加する。パラトライアスロンの一般部門には29人がエントリーし、視覚障がい者は15人。スイム750メートル、バイク(二人乗り)20キロ、ラン5キロの計25・75キロに挑む。

 目標は1時間15分。齋藤は「大久保さんの実力を十分に発揮できるようサポートしたい」と意気込む。大久保は「見えなくてもスポーツを楽しんでいることを伝え、多くの人に興味を持ってもらいたい」と力強く語った。
 (豊浜由紀子)