沖縄防衛局、遅延損害金905万円の支払いを拒否 08年米兵タクシー強盗致死事件


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沖縄防衛局

 2008年に沖縄市で発生した米軍人2人によるタクシー強盗致傷事件で、沖縄防衛局は22日、那覇地裁沖縄支部が支払いを命じた損害賠償約2642万円のうち、遅延損害金分の約905万円の支払いはできないと被害者側に回答した。その上で「遅延損害金を除いた金額を受領し、以後異議を申し立てない」よう求めたという。被害者側は受け取りに応じなかった。

 遅延損害金は支払い完了まで発生する利息で、事件発生日が起算点となっている。被害者側は発生から10年以上経過していることを問題視。国の対応の遅さに対する責任を求めたが、防衛局は「遅延損害金については、加害者本人の延滞責任であるため、被害救済とは別であると考えている」と説明したという。

 判決は米軍人2人に遅延損害金を含めた賠償支払いを命じた。判決確定を受け、被害者側は米側による見舞金と賠償額の差額を日本政府が穴埋めする「SACO見舞金」の支払いを、沖縄防衛局に請求していた。

 被害者側の代理人弁護士は「遅延損害金は日本の法律が認めた被害だ。事件への対応が放置され、補償が遅延したことに被害者側には何の過失もない」と反論したが、防衛局側は「承諾しなければ見舞金は支払えない」と述べたという。