利便性向上も課題多く 混雑激化必至、対策が急務 ゆいレール延伸・ICカード導入


この記事を書いた人 大森 茂夫
沖縄都市モノレール

 沖縄都市モノレールは24日の記者会見で、延長区間の開業を10月1日とすることや、全国共通の交通系ICカード「Suica(スイカ)」の導入、消費増税に伴う値上げの予定を発表した。区間延長に加え、ICカード導入による国内観光客への対応が整うことで利便性は高まる。利用者増加による車両の混雑激化は必至で、検討が進む3両編成化の早期実現も求められる。

 モノレール側はスイカの導入について「券売機前の混雑の解消に努める」と強調する。乗客は券売機で並ぶストレスから解放され、これまでよりもスムーズに乗車できる。一方でスイカは国内客の利用が中心で、外国客は引き続き券売機の混雑に巻き込まれることが予想される。国内客と外国客の両方が利便性向上を実感できるシステムの構築も必要となる。

 現状の2両編成では2030年に乗客数の増加に対応できなくなると予測されており、モノレールを3両編成にする計画も持ち上がる。現在は予算確保のために国や県などに財源確保を要請している。車両の運営基地整備に向けた用地買収など、3両編成を実現するためにはクリアすべきハードルが多い。

 てだこ浦西駅を出発した車両が首里駅を通過するまでに満車状態となる事態を回避するため、那覇空港を出発し首里駅で折り返す車両を用意する案も検討されているという。沖縄都市モノレールは「さらなる増便も考えていく」と説明し、混雑緩和のための施策を進める方針だ。

 さまざまな課題を克服し、公共交通機関として全ての客が安全で快適にモノレールを利用できる体制を維持するため、関係者らの手腕が問われている。(外間愛也)