取りざたされる衆参同日選、沖縄選挙区はどうなる? 1~4区記者が探った候補者の顔ぶれ


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 夏の衆参同日選挙が取り沙汰されている。衆院が解散された場合、投開票は7月21日や8月4日実施との見方が広まっており、もし同日選が実現すれば、1986年以来33年ぶりとなる。県選出・関係の現職議員は衆院解散を見据え、国政報告会を開くなど出馬に向けた準備を進めている。一方、候補者が決まっていない選挙区もある。候補者固めを巡り、県内各党や候補者の思惑が交錯している。夏に衆院選挙が実施されることが決まった場合の候補者の顔ぶれを探った。(吉田健一)


1区

現職三つどもえ再び

 1区は有権者の9割以上が暮らす県都那覇市の情勢で大勢が決まる。都市部であるため無党派層や浮動票も多く、世論の流れを反映した投票行動が目立つ。次期衆院選は、前回と同様に現職同士の三つどもえの構図となる見込みだ。

 2017年10月の前回衆院選では、普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」陣営の全面支援を受けた共産の赤嶺政賢氏(71)が、14年12月の衆院選と同じ顔ぶれとなった自民の国場幸之助氏(46)、維新の下地幹郎氏(57)を退け当選した。国場氏、下地氏は比例で復活当選した。

 国政選挙以外の直近の選挙を見ると、昨年9月の知事選や同10月の那覇市長選では「オール沖縄」陣営が勝利を重ね、勢いに乗る。次期衆院選でも無党派層を取り込めるかが鍵を握る。

 一方、自民と維新は昨年から県内の各種選挙で協力関係を構築していることもあり、党内や経済界の一部からは保守分裂を回避するために国場氏と下地氏との選挙区調整を求める声も出ている。


2区

2現職一騎打ちへ 新たな候補推す声も

 米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市をはじめ基地所在市町村が多い2区は、2017年と同じく、現職の照屋寛徳氏(73)=社民=と宮崎政久氏(53)=自民=の一騎打ちとなる公算だ。

 ただ、県政与党内からは世代交代を求める声もあり、社民党県連書記次長で県議の宮城一郎氏(52)を推す声もある。

 一方、宮崎氏は3回連続比例復活のため、次期衆院選では比例九州ブロックで重複立候補できるかが焦点となる。党内からは昨年知事選に出馬した前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)を推す声もあり、比例で単独登載される可能性もある。

 全国的に党勢低迷が続く社民だが、県内では一定の勢力を誇る。参院選比例代表には党公認候補として県議の仲村未央氏(47)を擁立しており、セット戦術で、2003年の衆院選以来守ってきた議席死守を目指す。議席奪還を目指す自民は社民側の動向を注視しており、党内からは動きを見極めた上で比例を含めた候補者調整をすべきだとの慎重論もある。


3区

補欠選と同じ構図 「辺野古」争点、激戦予想

 4月に補欠選挙が実施されたばかりの3区は、補選と同じく現職の屋良朝博氏(56)=国民民主=と元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏(54)=自民=の一騎打ちとなる公算だ。補選は、投票率が43・99%と県内で実施された国政選挙で過去最低となったが、総選挙となった場合の投票率のアップは確実とみられ、激戦が予想される。

 3区は元々、昨年9月の知事選で当選した玉城デニー氏(59)が議席を保持していた選挙区で、前衆院議員の比嘉奈津美氏(60)=自民=と激しい選挙戦を展開していた。戦績は玉城氏の2勝1敗。一方の比嘉氏は、参院選比例代表での公認が決定しており、日本歯科医師連盟(日歯連)の支援を得る。

 3区は普天間飛行場の移設先となっている名護市辺野古を抱えるだけに次期衆院選でも辺野古問題が最大の争点となる。補選では屋良氏が辺野古「反対」、島尻氏が「容認」と姿勢を明確にしており、次期衆院選でも辺野古の是非を巡って激しい舌戦が繰り広げられそうだ。

 3区は沖縄市、うるま市、名護市の3市が大票田となる。


4区

「オール沖縄」人選焦点 自衛隊配備も争点

 沖縄選挙区で唯一、自民党が議席を持つ4区は、引き続き現職の西銘恒三郎氏(64)が立候補する予定だが、「オール沖縄」陣営は候補者が決まっておらず、今後は県政与党内の人選が焦点となる。

 4区を巡っては、国政野党第一党の立憲民主党が7月に任期を迎える参院議員の糸数慶子氏(71)の擁立を模索しているが、県政与党内からは前回衆院選と同様に「完全無所属候補を擁立すべきだ」との声もあり、曲折も予想される。与党各党や連合沖縄などは近く候補者擁立について協議をスタートさせる考えだ。

 一方、与党内には照正組会長で県政策参与の照屋義実氏(71)を推す声もある。西銘氏はダブル選をにらみ、4区の地域で国政報告会をこまめに開き、国会活動での実績など強調していく考え。

 本島南部や先島地域を含む4区は自衛隊配備問題や尖閣諸島問題も抱える。離島振興のほか、第1次産業従事者が多いため農林水産業の振興なども主要な争点となりそうだ。