「教員の働き方を助けたい」シンポ主催した琉大生と内田准教授らが座談会 「問題意識を持ち続けたら変わる」


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過重労働などの問題を指摘しながらも、教師になりたいと語る琉球大学教育学部の(左から)城間碩也さん、泉田惇友さん、稲垣圭一さん=19日、那覇市の琉球新報社

 教員の過重労働の改善に向け、全国的に教育学部の大学生が声を上げ始めている。沖縄でも琉球大学教育学部4年の城間碩也さん、泉田惇友さんらが「教師の『魅力』を考えるシンポジウム」を開催し、現職教員や同じ大学生らと問題意識を共有した。「ブラック」と言われる職場を目の当たりにしながらも教員を目指す学生らの訴えに、学者らも注目している。

 昨年12月、京都の大学生が「教員の働き方を助けたい」との思いで学生団体「teacher aid」を設立した。その動きに共鳴し、奈良、広島、茨城などでも支部が立ち上がった。城間さんや泉田さんは沖縄支部のメンバーだ。

 シンポジウム開催後、講師として登壇した名古屋大学大学院の内田良准教授や現職教員の斉藤ひでみ氏(仮名)が、城間さん、泉田さん、稲垣圭一さんを招き、座談会を開いた。自力でシンポジウムを開催し、問題点を鋭く指摘し「沖縄の学生の動きはすごい」と、興味を持ったからだ。

座談会で学生の思いを聞く内田良氏

 座談会で城間さんは貧困率と子どもの学力の相関が指摘される中、教師が多忙で授業づくりができず、子どもの学力向上への取り組みが不十分となり、その結果「学校が貧困を再生産しているのではないか」と懸念。学校現場に入って自分が変えたいという決意を語った。学力だけではない評価軸で子どもを見られないかという思いもあるという。

 さらに「夢をかなえる一歩手前まで来ているのに(労働環境の問題で)諦めるのはしゃくだ」(城間さん)、「問題意識を持ち続けたら変わる。変わるときに、その中の一人として教育現場にいたい」(泉田さん)と訴えた。

 県外の学生とも対話を重ねてきた内田准教授は「これまでは教師を諦めた人の痛烈な言葉だった」と述べ、教師を目指し続ける3人の思いに感銘を受けた。

 座談会は動画投稿サイト「ユーチューブ」の「内田良チャンネル」で公開している。