小学校にジェット機が墜落…18人が死亡した事故を忘れないで 紙芝居で宮森小事故を伝える


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1959年に石川・宮森小学校で起きた米軍ジェット機墜落事故について描いた紙芝居「忘れないで なかよし地蔵のおともだちを」

 【うるま】沖縄県うるま市石川地域の住民8人でつくる「平和グループ ソーミナー」が、1959年に宮森小学校で起きたジェット機墜落事故を描いた紙芝居「忘れないで なかよし地蔵のおともだちを」の新調版を完成させた。事故当時、宮森小5年生だった佐次田満さん(71)らの証言を基に、画家・荷川取純子さんらの協力を得て仕上げた。ソーミナー代表の金城周子さん(66)は「事故を風化させないためにも多くの子どもたちに知ってもらいたい」と、県内小中高への配布も検討していく。

「忘れないで なかよし地蔵のおともだちを」新調版を完成させた(前列左から)金城周子さん、佐次田定子さんと紙芝居の題材となった佐次田満さん(後列)=5月29日、うるま市石川

 結成29年目を迎えるソーミナーは、地域の平和学習や戦跡巡りなどの活動に取り組んできた。自分たちの地域や足元の平和についても考えるきっかけにしたいと、宮森小の事故を紙芝居にしようと決め、約20年前に佐次田さんと、事故当時6年生の担任をしていた故伊波常雄さんから話を聞き取り、紙芝居を作った。

 県内外の小中学校で読み聞かせを続け、反響が広がる一方、紙芝居は原画のままで一つしかなかったため、依頼を断らざるを得ないこともあった。今年新調して50部を完成させた。

 紙芝居は14ページで、ジェット機が墜落し叫び苦しみ、混乱する子どもたちや保護者の様子を描き、事故後も大きな飛行機におびえる児童の様子などを紹介している。

 当時、宮森小近くの城前小1年だった金城さんは地域の人や子どもを亡くした母親の思いなどを聞いてきた。「遺族の方に聞いた『(事故を)思い出したくない。だけど、忘れないでほしい』との言葉が忘れられない。授業でぜひ使ってもらい、『平和って何か』を考えるきっかけにしてほしい」と語った。
 (上江洲真梨子)