ジュゴン死骸は「工事無関係」 沖縄防衛局環境監視委員会 4日前に「悲鳴」


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運天漁港に打ち上げられたジュゴンの死骸=3月19日、今帰仁村の同漁港

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設に関し、沖縄防衛局は3日、環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大大学院教授)を那覇市のザ・ナハテラスで開いた。同局が本島周辺で確認していたジュゴン3頭のうち、「個体B」の死骸が3月18日に今帰仁村の運天漁港に打ち上げられたことについて、新基地建設工事の作業船の運航による影響はないとの分析を報告した。委員の異論はなかった。

 防衛局の調査で、個体Bが往来していた古宇利島周辺で3月14日にジュゴンの鳴音が通常を大きく上回る頻度で確認された。関係者によると、委員会では個体Bが同日に何らかの深刻な損傷を受け、悲鳴を上げていた可能性が指摘された。

 防衛局によると、古宇利島の周辺海域でジュゴンの鳴音が最後に確認された3月14日から個体Bの死がいが発見された18日の間に、新基地建設に使う土砂運搬船7隻が航行した。航跡を確認したところ、全て個体Bの主な確認位置からは離れていた。

 一方、残る2頭「個体A」と「個体C」は新基地建設工事が本格化した後に辺野古周辺から姿を消しており、影響が指摘されてきた。防衛局は前回の委員会会合の指摘を受けて4月6、18の両日に追加実施したヘリコプターによる生息確認でも、ジュゴンの姿は確認できなかったと説明した。

 防衛局は水中録音装置を使った追加調査も検討してきたが、ジュゴンのえさ場となるような海藻藻場がなかったため、調査は見送ると報告した。