地域の薬局がLINEで健康相談を受ける理由


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LINEを活用して健康相談を受け付けている、いは薬局の伊波重徳取締役=3日、浦添市城間

 沖縄県浦添市城間のいは薬局では60代以上の利用者を主な対象に、無料通信アプリのLINE(ライン)を活用して健康相談などを受け付けている。スマホの使用に不慣れな高齢者には不安もあったが、地元商店会の講座を通じて地域ぐるみで使い方を学ぶなど浸透を図り、現在は約50人が同薬局とラインでつながっている。同薬局取締役の伊波重徳氏は「大手のドラッグストアなどにはできないことだ。地域のお客さまの健康に関する不安を解消したい」と語る。

 情報技術を活用して在宅での相談体制を整えようと、同薬局は2年ほど前からラインで相談を受けている。利用者自身や家族の健康のほか、高齢者特有の病状に関するものなど、さまざまな相談が寄せられるという。来店が難しい高齢者に対しては、ラインで相談を受け付け、必要な薬を発送するサービスも行う。

 通常は店頭で健康に関する悩みを聞いているが、頻繁に来店できない高齢者をサポートするため、リアルタイムでメッセージのやりとりができるラインの活用を考えた。

 そこで浦添市商店会連絡協議会が主催する「まちゼミ」の講座を利用し、高齢者を中心にラインの使用方法を紹介した。伊波氏は「ラインを使うことに恐怖心を抱いていた利用者も、講座を受けたことでスムーズに活用できるようになった。体調が良くない時に、ラインですぐ連絡が来るようになった」と語る。

 相談は無料で受け付ける。夜間に緊急の相談が寄せられた場合は、受診できる医療機関を紹介したり、処置に必要な薬について説明したりしている。今後は薬局のラインスタンプを作ることも視野に入れる。

 伊波氏は「健康であれば得することが多い時代だ。住民と身近に接している地域の薬局として、これからも健康をサポートしたい」と強調した。
 (平安太一)