東宝の名作ミュージカル「レ・ミゼラブル」 知念里奈、屋比久知奈が熱演


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娘コゼットを思うファンテーヌを演じた知念里奈(東宝演劇部提供)

 【東京】県出身者など沖縄にルーツを持つ俳優ら4人が出演する東宝のミュージカル「レ・ミゼラブル」が4月から5月28日まで東京都の帝国劇場で上演された。4月23日の公演では、14年前から同舞台に登壇してきたファンテーヌ役の知念里奈と、エポニーヌ役として「タイタニック」に続くミュージカル出演となる屋比久知奈が共演し、それぞれの持ち味で役柄を演じ観客を魅了した。

 「レ・ミゼラブル」は文豪ビクトル・ユゴーの原作で、19世紀初頭のフランスが舞台。パンを一つ盗んで長年投獄されたジャン・バルジャンが仮出獄し、世間の冷たい目にさらされながら新たな人生を始める。バルジャンを軸に、取り巻く人々の「無知と貧困」「愛と信念」を描く。東宝の「レ・ミゼラブル」は全役オーディションで、初演から30年以上にわたりスターを生み出している。

強がりを見せながらマリウスへの思いを抱くエポニーヌを演じた屋比久知奈(東宝演劇部提供)

 娘コゼット(熊谷彩春)をバルジャン(佐藤隆紀)に託して息を引き取るファンテーヌの知念は、子を思う母親の情感をたっぷり込めて歌い上げた。屋比久は、マリウス(海宝直人)に片思いしながらも、マリウスとコゼットの仲を取り持つ切ない役柄。強がりを見せながらも、マリウスへの思いを胸に抱くエポニーヌの心情を歌「オン・マイ・オウン」に乗せた。

 エピローグでは天に召されるバルジャンを導く場面で、知念と屋比久がそろって登場した。2人とも亡くなり魂としての再登場で、静かにバルジャンを誘導しながら、物語終盤の荘厳な空気を作り上げた。

 今年の「レ・ミゼラブル」には屋比久と知念のほか、父が県出身でジャベールを演じる伊礼彼方と、県出身の大嶺巧も出演している。4月23日のジャベール役は上原理生が演じた。
 (滝本匠)

全員そろって「ワン・デイ・モア」を歌う出演者=4月、東京都の帝国劇場(東宝演劇部提供)

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 「レ・ミゼラブル」は6月7日から25日まで名古屋市の「御園(みその)座」で上演され、その後は7月3~20日に大阪市の梅田芸術劇場メインホール、7月29日~8月26日に福岡市の博多座、9月10~17日に札幌市の札幌文化芸術劇場hitaruでそれぞれ上演される。