「聞こえないことを理解し、力を発揮できる」 補聴器専門店で働く重度難聴の小谷一生さん きょう「補聴器の日」


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那覇本店で業務に励む琉球補聴器の小谷一生さん。左耳に補聴器を着けている=5日、那覇市安里の同店

 補聴器専門店の琉球補聴器(沖縄県那覇市、森山賢社長)で、利用者の立場に立った環境づくりをしたいと意気込んでいる社員がいる。重度難聴がある小谷一生(いっせい)さん(21)だ。20年近く補聴器を利用している。6月6日は「補聴器の日」。利用者の立場で業務をこなし「眼鏡や体の一部のように、人生を楽しくするために補聴器を使ってほしい」と語る。

 補聴器の日は、6を向かい合わせに書くと耳に見えることなどから、1999年に日本補聴器販売店協会が制定した。

 那覇市生まれの小谷さんは神原小・中学校で通級指導教室「ことばの教室」に通い、沖縄ろう学校高等部に進学した。一度は別の職に就いたが、2017年に希望して琉球補聴器へ転職。家族からは「聞こえないということを自分で理解し、一番力を発揮できる」と励まされた。

 現在はカルテの整理や店舗の運営補助、手話が必要な来店者の対応などを担う。小谷さんは「知らなかったことも多く修行中だが、こつこつ経験を積み重ね、聞こえない人のために頑張りたい」と明るく話す。同社は地域の耳鼻咽喉科へ受診後、必要なら相談して購入を勧める。「眼鏡のように、補聴器がないと困る。買う前や購入後の相談サービスを利用して補聴器の良さを知ってほしい」と呼び掛けた。

 琉球補聴器は11日から県内各地で地域相談会を開く。問い合わせは那覇本店(電話)098(863)4133。