離れていても点検完了!IoTカメラで計器を遠隔点検 リルズが開発、巡回作業効率化へ


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
IoTカメラを活用した計器監視のシステムを開発したリルズの大西敬吾社長(前列左から3人目)と社員、協力企業の関係者ら=3日、琉球大学

 AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の技術を活用した研究開発や、サービスの提供に取り組むLiLz(リルズ、西原町、大西敬吾社長)は、ビルや工場など大型施設で利用される計器類を遠隔監視できる「IoTカメラ」と撮影した画像を解析するシステム「LiLzGauge(リルズゲージ)」を開発した。同システムを活用することで点検員が巡回して計器を一つずつ確認する作業が不要となり、巡回点検の効率向上や人手不足の解消につながることが期待される。

IoTカメラの試作品

 起業家万博2019で日本マイクロソフト賞とソフトバンク賞、九州・山口ベンチャーアワーズ2018でスタートアップ部門大賞を受賞するなど、高い評価を得ている。大西社長は「『現場の仕事をラクにする』が社のミッションであり、現場の人の課題解決を手助けできればうれしい。ビルや工場で使う計器は全国で100万台以上あると推計しており、需要は見込める」と語った。
 リルズゲージはカメラで撮影した計器の画像と数値をインターネット上のクラウドサーバーに自動送信することで、現場に出向かずにパソコンやタブレットで確認できるシステム。ユーザーが正常値の範囲を設定することで、異常な数値が出た場合は赤色で表示されるなど、視覚的に分かる仕組みになっている。機械学習の仕組みも備え、データが蓄積されるほど画像読み取りの精度が上がる。
 これまでも計器類を自動で読み取るセンサーやカメラはあったが、コストや電源の確保、画像の解像度などで課題があった。リルズのIoTカメラは1台で複数の計器を確認でき、望遠機器を取り付けることで5メートル以上の距離でも鮮明な画像を撮影できる。
 電池式で電源が確保できない場所にも設置でき、1日3回の撮影であれば3年は稼働できるなどコストや機能面で優位性がある。
 同カメラを活用したシステムは高砂熱学工業(東京)との共同開発品で、10月にも販売を開始する予定で、改良を進めている。価格は2万~3万円を想定し、3年で3万台の出荷を目指す。
 大西社長は「設備の点検は現在も人の五感で行われており、視覚以外に聴覚や嗅覚で感じる異常なども支援できるシステムをつくりたい」と語った。