〈8〉糖尿病合併症 食事療法で予防を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 糖尿病の検査には、血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)があります。健診の空腹時血糖の正常値は100ミリグラム/デシリットル未満で、126ミリグラム/デシリットル以上で糖尿病と診断されます。HbA1cは過去1~2カ月間の血糖値の平均の指標で、正常値は5・6%未満、糖尿病の診断は6・5%以上です。失明、腎不全、神経障害といった合併症を予防するため、HbA1cは6・9%以下にする必要があります。

 糖尿病には1型と2型があります。1型は自己免疫疾患などが原因で小児や若い人に多く、日本では全糖尿病患者さんの5%未満です。インスリン治療が必要です。一般的な糖尿病は2型で、肥満や生活習慣が原因です。2型の治療で最も重要なのが食事療法です。初期の軽い状態なら薬を使わずに食事療法のみでも改善します。食事療法の重要な点は次の通りです。

 (1)腹八分にする。食べ過ぎると食後の血糖値が上がります。(2)早食いせずによくかんで食べる。よくかむと満腹感が出て、食べ過ぎを予防できます。(3)1日3食規則正しくとる。朝食を抜くと昼夕食後の血糖値が上昇します。(4)野菜、きのこ、海藻類を先に食べる。食物繊維の多い食材を先に食べると食後血糖値の上昇が緩やかになります。(5)炭水化物を減らす。米、パン、めん類、イモ類は炭水化物を多く含み、消化吸収で糖に変わって食後血糖値が上昇します。(6)夜9時以降は食べない。寝るまでの時間が短くなり翌朝の血糖値が高くなります。(7)牛乳、豆乳、野菜ジュース、飲むヨーグルトを控える。糖を含む液体は吸収が早く、血糖値が急速に上昇します。(8)栄養ドリンク、スポーツドリンク、乳酸菌飲料を控える。(7)と同様です。(9)水分は基本的に水・お茶に。(10)果物の摂取を減らす。果物は果糖が多く、血糖値が上昇します。(11)菓子パンをやめる。炭水化物のパンとジャム、クリーム、あんこなどの糖質で血糖が上昇します。

 食事療法でHbA1cを6・9%以下にして合併症を予防しましょう。
(長田光司、ながた内科クリニック糖尿病内科)