盲学校からスタバ就職した佐野七奈さん 「コーヒーの表現力はピカイチ」と店長も太鼓判


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来店客に笑顔でコーヒーのテイスティングを勧める佐野七奈さん(中央)=12日、読谷村古堅のスターバックス読谷店

 【読谷】「夢はコーヒーマスターだ!」。3月に沖縄盲学校高等部を卒業した佐野七奈さん(19)=恩納村=はこの春、コーヒーチェーン大手の「スターバックス」にチャレンジパートナーとして入社し、社会人としての一歩を踏み出した。盲学校卒業生が同社に就職するのは県内で初めて。「覚えることがたくさんあって大変だけど、今はとにかく仕事が楽しい」。左目は視力がなく、右目は弱視だが、持ち前の明るさと向上心でみるみる業務を覚え、活躍の場を広げている。

 フラダンスが趣味の佐野さんは静岡県出身。沖縄の豊かな自然環境の中で伸び伸びとフラダンスを楽しみながら生活を送りたいと、中学3年の時に母と移住した。昨年、同社が特別支援学校の生徒を対象に募ったインターンシップへの参加がきっかけで、奥深いコーヒーの世界に魅了されたという。

 入社して2カ月余り。豆の準備や店内の清掃などを主に担当している。苦手だったハサミや器具の扱いにもだいぶ慣れたが、業務をこなす上で困難に直面することもある。特に学生時代と違い店内はチャイムが鳴らないため、時間の流れがうまくつかめないという。

 「何をするにも目標時間を設け、スマートフォンのタイマーで時間を管理するようにしている」。どうしたら円滑に業務をこなせるのか、試行錯誤と挑戦の日々だ。

 佐野さんが勤務する読谷店の田中淳史店長(34)は「勉強熱心で、何事にも前向きな性格」と評価する。鋭い味覚と豊かな感性で他のスタッフを驚かせることも多く「コーヒーの表現力はピカイチ」だと太鼓判を押す。

 「明日は何を学ぶことができるだろう」。声を弾ませる佐野さんは、夢の実現に向けしっかりと歩んでいる。 (当銘千絵)