〝性差ない制服〟広がる  メーカー、開発に力


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菅公学生服が手掛けたユニセックスデザインの学生服。ファスナー式となっている(同社提供)

 性別と服装の不一致に悩む子の力に―。性別に関係なく制服を自由に選べる「制服選択制」が沖縄県内でも高校を中心に広がる中、メーカーも性差をなくした制服の開発に力を入れている。心と体の性が異なるトランスジェンダーの生徒への配慮に加え、利便性など多様なニーズに応えたい考えだ。20日には那覇市で教員向けの展示会があり、LGBTなど性的マイノリティーに配慮した制服も出展される。

 県教育委員会によると、制服を採用している県立高校58校のうち、2月時点で浦添、那覇、西原の3校が制服選択制を実施。加えて25校が2019年度からの導入を決めていた。

 県内学生服メーカー最大手の日進商会(糸満市)によると、2~3年前からスラックスに加え、LGBTに配慮した上着も要望されるようになった。男女で左右が異なる「前合わせ」をなくしたファスナー式ブレザーを制作。中学校からの問い合わせも増えているといい、担当者は「制服は学校のシンボル。ストレスなく着てほしい。性差別のない環境を衣料で提供できれば」と話している。

 全国最大手の菅公学生服(岡山県)の子会社、沖縄菅公学生服(宜野湾市)は20、21日の2日間、那覇市内で教員向けの展示会を開き、県内では初めてLGBTに配慮した制服を出展する。ユニセックスデザインなど5セットを用意しており、三宅浩司所長は「先生方から意見を聞きたい」としている。

 県内高校で広がる制服選択制。性の多様性を訴えるレインボーハートプロジェクトokinawaの竹内清文代表の下には「抱き合って喜んだ」などの声が子どもたちから寄せられているという。竹内代表は「心の性と違う制服が原因で、学校に行けない子がいる。教育の機会を確保する上でも選択制は大切な制度だ」と話し、中学校への広がりも期待している。
 (真崎裕史)