参列者「心に響かない」 沖縄全戦没者追悼式・首相あいさつ


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あいさつする安倍晋三首相=23日午後0時44分、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 沖縄全戦没者追悼式で玉城デニー知事はウチナーグチや英語を交えてあいさつし、辺野古新基地建設反対や日米地位協定の改定を訴えた。玉城知事の一言一言に会場からは拍手が沸き起こった。一方、安倍晋三首相はあいさつで沖縄の基地負担軽減や経済振興を推進する考えを強調したが、辺野古新基地建設に触れることはなかった。参列者から「帰れ」「ゆくさー(うそつき)」との声も上がり、知事あいさつへの受け止めとは温度差が際立った。

 式典に参列した上間久男さん(68)=本部町=は首相に対して「見せかけじゃなく、県民に寄り添った気持ちを見せて政治の場で生かしてほしい」と注文した。家族で参列した神谷真美さん(38)=豊見城市=は「県民投票の結果を無視する政府のやり方は、県民の意見を軽視している」と語り、首相のあいさつを冷ややかに受け止めた。沖縄大1年の粟国悠理さん(18)=浦添市=は首相のあいさつについて「心に響かなかった。沖縄に来たこと自体が演出に感じる」と疑問を呈した。

 2015年から毎年式典を訪れ、取材しているジャーナリストの津田大介さん(45)は首相あいさつについて「対話を求める県民の気持ちを逆なでしているようなものだ。国が県民にしっかり向き合ってほしい」と語った。