「若手育成に励む」 芸術院賞受賞 宮城能鳳さん抱負


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日本芸術院賞を受けた宮城能鳳さん(後列左端)ら=24日、東京・上野の日本芸術院会館

 【東京】優れた芸術活動を表彰する第75回日本芸術院賞の授賞式が24日、天皇、皇后両陛下出席のもと東京の日本芸術院会館で催され、組踊立方の人間国宝・宮城能鳳さん(80)=与那原町=が県内で初めて受賞した。宮城さんは「身に余る光栄だ。これまで以上に精進を重ね、若手育成に励みたい」と語った。

 日本芸術院の黒井千次院長は「今後一層の精進を重ねられ、ますますわが国芸術の成果を発揮されることを祈る」とあいさつした。

 授賞式に先立ち宮城さんは紅型の衣装を前に組踊について両陛下に説明した。宮城さんが出演した舞台を2度ほど見たことがある両陛下は「この紅型を執心鐘入で着ているんですね」と関心深い様子で話したという。皇后陛下からは「体に気をつけて組踊の継承と発展に取り組んでください」と声を掛けられたという。

 宮城さんは、琉球王国の滅亡と沖縄戦の2度に渡る断絶の危機を乗り越えた組踊の歴史に触れ「先師先達が苦労して受け継いできた沖縄の宝であり、感謝の気持ちでいっぱいだ」と語った。「組踊の素晴らしさを若者たちと手を携えて全国、全世界の人々に発信したい」と意気込んだ。

 日本芸術院賞は美術、文芸、芸能各界に渡る日本最高の芸術賞に位置付けられる。制度が始まった1941年以降、現在までに661人が受賞している。