沖縄・久米島の海洋深層水の利活用で海洋産業を 促進委員会が設立


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 【久米島】久米島町の海洋深層水の取水施設拡充などを通し、久米島発の海洋産業創出モデルの実現を後押しする「久米島町海洋産業インフラ早期建設促進委員会」が24日、設立された。町内外の企業や県工業連合会などの経済団体など34企業・団体が参画し、民間主導の活動を展開する。県外企業などからの要望が強い供給量増に向けて、施設増強などを国や県に働き掛ける。

 久米島の海洋深層水のさらなる利活用に向けた民間組織設立は初めて。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえ、自立経済につなげる離島振興モデルの構築も目指す。

 24日午後、久米島町役場仲里庁舎で設立総会が開かれ、会長に嘉手苅一久米島商工会長を選出した。関連産業の新規創出などを支援する事業計画を承認した。

 同町真謝の県海洋深層水研究所は2000年から、国内最大の日量1万3千トンを供給している。利活用が進み、車エビや海ブドウの生産量が国内一となり、140人の雇用創出など地元の第1次、2次産業の振興に寄与し、関連産業の生産額は年25億円超に伸びた。

 だが、供給量が上限に達しているため、参入を望む企業の受け入れが進まず、産業基盤の強化が足踏み状態になっている。久米島町や内閣府の調査によると、設備を増強して取水量を約10倍に引き上げれば、生産額が約3・2倍の80億円に伸びると試算している。

 嘉手苅会長は「海洋深層水関連産業は裾野が広く、発展可能性が高い。民間主導で行政と一体となって取水施設増強などに取り組みたい」と抱負を語った。