尖閣巡り沖縄県議会で応酬 県「平和外交で関係改善を目指す」 自民「中国公船へ抗議を」


社会
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県議会代表質問で答弁する玉城デニー知事=25日、県議会本会議場

 27、28日の県議会6月定例会一般質問で、尖閣諸島に関する玉城デニー知事の姿勢を巡って野党の沖縄・自民党と県当局は応酬を繰り広げた。中国公船による領海航行について玉城知事の発言や認識に質問が集中し、県側は「尖閣諸島は日本固有の領土だ」との認識を示した上で、平和的な外交で関係改善を目指すことが重要だとの立場を強調した。一部議員は県による中国への抗議を要求した。一方で識者は「国がするべきことだ」と指摘している。

 尖閣諸島を巡る問題について質問したのは自民の新垣新、西銘啓史郎、大浜一郎、座波一、仲田弘毅、又吉清義、座喜味一幸、照屋守之の8氏。石垣市区選出の大浜氏は「中国公船が圧力をかけている。まさに片手にナイフだ」と訴えた。新垣氏は中国の一帯一路構想に対する玉城知事の積極姿勢に「中国に乗っ取られたら誰が責任を取るのか。完全なフライングだ。怖くなってきた」と述べた。

 政府が対応すべき問題と捉える県に対し、野党側は直接訪米などをして訴えている米軍基地問題との対応の違いを追及した。西銘氏は県が米国に普天間飛行場の運用停止を求める書簡を送ったことを引き合いに、抗議文書の発出を求めた。

 これに対し玉城知事は「尖閣諸島は我が国固有の領土だという日本政府の公式見解と認識を一にしている」との認識を示した。謝花喜一郎副知事は「沖縄は中国と長い交流の歴史がある。これまで築いてきた友好関係を生かして対話を求めながら、沖縄ならではの交流を推進することが重要だ」と説明した。

 一方、元駐中国大使の丹羽宇一郎氏は「外交は国と国の間のことなので日本政府がやるべきことだ。県は国に対して実情を訴えて対応を求めることはできる」と説明した。米軍基地問題については「日本政府が動かないから直接訴えているだけで、本来は日本政府が言うべきことという点では同じだ」と指摘した。

(明真南斗)