競合激化、人手不足の外食業界 ロイヤルホスト・佐々木徳久社長が語る沖縄での戦略とは?


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 少子化や人手不足でファミリーレストランの24時間営業の見直しを迫られるなど過渡期を迎える外食業界。沖縄はショッピングモールの相次ぐ開業もあり、飲食店舗の競合が激化する。来県したロイヤルホスト(東京)の佐々木徳久社長に、高級路線のチェーン展開の考え方や沖縄での出店状況を聞いた。

―2015年にイオンモール沖縄ライカムの開業に合わせてロイヤルホストが沖縄に初出店した。

「沖縄の日本復帰から3年後の1975年にグループ会社が那覇空港でレストランを始めている。系列のリッチモンドホテルができ、機内食も順調にきた。そうした中でライカムにロイヤルホストとカウボーイファミリーを出店した。ただ、想定通りとはいえない。沖縄で初めてのロイヤルホストだから、浸透するのは少し時間が掛かる。大きな投資をしてお店をつくっているので、物事を長く見ている。沖縄の人たちにとっていい時間が過ごせるよう専念していく」

―今後、沖縄の市場でどのように取り組むか。

「沖縄に店を出して良かったことは、働く人がまじめで素晴らしいことだ。われわれの求める身だしなみや働き方は当初は厳しいものだったと思う。しかし、目的を理解すると一生懸命に取り組んでくれる。ロイヤルホストの持ち味である品質とホスピタリティーを沖縄でも全国と変わらない質で提供できるようにしっかり守っていきながら、その良さを分かってもらえる努力をやりきりたい。品質やおもてなしの質を下げて値段を下げるということは一切考えていない」

―全国的に人手不足からファミレスの年中無休、24時間が難しくなる。

「既に店休日を3日くらい設けている。うちが強いランチとディナー、週末に人的資源を集中させようと、思い切って営業時間も短くした。今年から上期と下期に7連休をとらせるようにしている。営業時間は短くしたがロイヤルホスト全体では売り上げが上がり、採用も前年を上回っている。これから大きなマネジメントの体制も変えたい。権限を現場に委譲して、自分がやったことが改善につながると感じられればモチベーションが上がる。ある程度のルールの中で現場で判断していくことによって、働き方改革も人の定着もうまく動く」

―プラスチック製の使い捨てストローの廃止を発表した。

「全店禁煙も一番初めにやった。禁煙のタイミングで改装してファミリーが利用しやすいダイニングに替えた。サラリーマンが仕事で使うことが多かったので昼の客が減る影響はあったが、週末は来店が増えた。判断基準は、ステークホルダーの人たちに『やっぱり信頼できる』と思ってもらうブランドになることだ。ウミガメの生態に悪影響だからプラスチックストローから紙に替えると従業員に説明すると、この会社で働くことが誇りに思える。やる気となって、本当に生産性の高い仕事につながる。来店者にはお年寄りも多い。障がいを持たれた方にどういう接客をするかを示すことも、人としての質や豊かさを高められる機会になる」

(聞き手 与那嶺松一郎)